【坂田銀時】いざよいの華【銀魂】 (ページ5)

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問ページ5

『病死か。』

『事故です。』

『こどもはいるのか。』

『いません。』

『何故かぶき町で一人だったんだ。』

『そういう気分でした。』

『危険だろ、家まで送る。』

『構わないでください。あなたに迷惑は掛けたくありません。それに銀は既に無関係な他人ですから、心配せずにいてください。』

五分ほど、静かなレスポンスは続いていた。

店のBGMは、ゆったりとした西洋音楽が流れており、ペンを走らせる音は流れている音楽を微かに凌ぐ大きさだった。

驚くほど動悸が激しかった。

それなのに息はそれほど荒くない。

それよりも悲しかったのは、Aの口から…いや、既に言葉になってはいるが俺のことを他人とのたまっている事実。

むしろ声で伝えてくれなかったことに感謝すべきなのだろうか。

(無関係…)

『他人なんて言わないでくれ。あの時の俺は馬鹿だった。お前みたいないい女を手放したこと、本当に後悔しているんだ。』

『相変わらずおべっかが上手。粋男は健在なのね。よかったわ。』

「そうじゃ…！」

思わず声が出てしまった。だが声を出したことなど気がついていないAは、俺の目を見ることなく返事を待っていた。

それだけが虚しくて、伝えることも伝えられることも難しくなっていることが本当に辛くて仕方が無い。

『聞こえないから、書いて欲しいわ。』

『そうじゃない。おべっかなんかじゃない。事実だ。Aはいい女だ。藤沢Aはいい女だから、信じて欲しい。』

『いい女なら、旦那を事故で失わないし、聴覚もちゃんと残っているのよ。銀、目を覚まして頂戴。

昔の恋愛は補正がかかるものよ。私のような昔の女をいつまでも構ってないで、他の女の人ナンパでもして新しい恋をして。』

『俺はもうそんなことはしねえよ。』

『あら意外だわ。』