【坂田銀時】いざよいの華【銀魂】 (ページ20)

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論点ページ20

「銀。」

俺に声をかけたAは、品書きの端の方にあるエビフライ定食を指さしてこれにする、と呟いた。

朝からよくそんなもん食えるよな、と呆れつつ俺は自分のものも選び始めた。

「おばちゃん、エビフライ定食と朝食セットくれ。」

俺が頼むと、おばちゃんは「はいよ！」と威勢よく返事をして主人とともに作り始めた。

ケータイやらなんやらを持ってない俺は誰かと飯に来た時に暇を潰す手段は会話だった。

それなのに隣のヤツが聞こえない耳を持つという。物事というのは予想もしないところで躓く物なのか。

人間は半ば哲学的な考えに陥ると、追い詰められてる証拠なのだという。という言葉を出しそうになるのも哲学的なのではないか。あれわかんなくなってきた。

(そういやあ…神楽どうなったかな…流石に一人はないと思うが…)

いつもならしないような心配が頭をめぐる。

もっとも不審者が来てもあいつならぼこぼこにして追い返すだろうが。

差し出された朝食セットに食らいつくと、隣ではエビフライを冷ますように息をかけるA。

(まあいいか。)

別に会話ができなくても、あいつの耳が聞こえなくても、隣でこうして飯を食える。それだけで幸せではないか。

・・・

「たでーまあ。」

鍵のかかってない自宅。相変わらず防犯もクソもあったもんじゃないが、俺は開いてることに少なからず安心していた。

俺がまだ許されているということである。

俺は返事のない家に上がると、神楽の寝ているであろう押し入れの襖を開けた。

だがそこには神楽はおらず、定春も押し入れのすぐ下の畳で眠っていた。

居間にいくと置き手紙があった。

『銀さんへ。どうやら遅くなりそうだったので、神楽ちゃんも連れて帰りますね。明日の昼頃には戻す予定です。』

新八の文字…ではない。女らしい字体だった。どうやら姉貴のほうみたいである。

「ただいまヨー！！」