仰 ページ11
もはや方向性が全く別のところに向かってはいるが、客本人がいい女になりたがっているのなら仕方ない。
「いい女なんて銀さん知らないと思ってましたよ僕。」
「なにめっちゃ失礼だなお前どうした。」
「どんな人アルか？！」
「まさかデリ〇ルじゃないわよね？！」
突然のど下ネタに新八が慌てて耳を塞いで、なんとこいつもデリ〇ルじゃないですよね？！と追い打ちをかけた。
「そんなわけねえだろ。俺ァデリ〇ルは呼ばねえよ！」
「全く論点そこじゃないんですけどね。」
「…あいつはデリ〇ルなんかじゃない。すっげえいい女なんだが…」
「なんだが…？」
「どこにいんのかわかんねえ。」
「やっぱりデリ〇ルじゃない！」
「ちげえつってんだろ？！」
「まあまあまあこのまま騒いでても話し進みませんし、ね？
とりあえずどんな方なんですか？」
「俺の昔の友人ってやつだ。」
「結婚式のスピーチは、昔の友人ってのは隠語で元カノって言うらしいわよ。」
「まじアルか！」
「女ども出てってくれ。」
「お客さんですよ銀さん。一人は違いますけど。」
俺は頭を抱えてあいつへの連絡手段を考えた、だが浮かばない。
あいつ…つまり藤沢Aなのだが、彼女は耳が聞こえないためにケータイやら電話やらの連絡先を知っていても話すことが出来ない。
メールなんて俺はパソコンもケータイなど持っていないので貰っても全くいらないシロモノになる。
(頭痛くなってきた。)
「やっぱりなんでもねえわ。呼ぶのめんどくさいし。」
「あんたそれでも社長？」
「うるせえなあ。そもそも浮気相手を殺せって方がよっぽど人間であるかすら疑うっての。」
客相手にこんなに悪態つくのも久しぶりである。
「男心わかるやつ紹介すりゃあいいんだろ？ぱっつぁんの姉貴呼べばいい。あいつは廃れたゴリラだけど根は女だしキャバ嬢だから。」
「ぶん殴りますよ？」
・・・
そんなこんなで１日は終わり、三件の仕事が片付いたのは夜七時である。
「報酬もがっつり入ったしどっか飯くいに行くか。」
新八と神楽は目を合わせて頷くと、声を揃えて『焼肉！！』と言った。
「仕方ねえな…叙々苑だの牛角だの高いとこはだめだからな！！安いとこだかんな！」
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作者名：hikari | 作成日時：2017年12月22日 23時
