５５悪いのは縛った自分か隔てた百合か ページ28
信じられなかった。
彼らがずっと愛おしそうに見つめていた相手が自分だと言われても、
受け入れられなかった。
それだけでなく、こんな、みんなを誑かすようなこと。
『私、コジケンに謝りに行かなきゃ』
「まって」
私を止めるタイセーくんの声はどこか強張っているような気がして悲しくなった。
「いったん俺が行ってくる。
たぶん今Aが行っても傷つくだけや、ふたりとも」
私を安心させるためなのか、穏やかに笑ったタイセーくんに
小さく謝って、遠くなる背中を見つめていた。
沈黙から逃げるように言い訳臭い早口でまくし立てる。
視線が怖い。
『ごめんなさい、私本当に思い出せない。
というか、まだ信じられなくて。
でも、本当に私ならみんなに謝らないと。
私、みんなを縛りつけるようなこと……』
縛りつける、と言った瞬間思い出す。
私がここに来てすぐ見た夢。
着物のような服を着た複数の男たちが
手を縛られたまま私の周りを回っていて、
その男たちの背中に翼が生え、瞳の色が変わり、
私が顔を上げたとき、私と男たちの間に大きな百合の花が咲く、
という不思議な夢。
今の状況と重なり過ぎている。
あれは、ただの夢ではなかったのか。
私と彼らの間に咲いた百合の花は、私たちを大きく隔てた。
300年という長い期間、百合は大きくなり過ぎたのだ。
すぐ向こうにいる彼らの姿が見えないくらいに。
自分で縛っておいて忘れるなんて。
『クソやん、私……』
リチャくんが「お、関西弁」と笑う。
正直、関西弁を使わないように心がける余裕なんてなかった。
『だって私、婚約者おったのに、
こんな素敵な、300年想ってくれるような。
それなのに、奪わんでいい人の時間まで奪って』
それはちゃうで、と今まで喋らなかったマサヤが口を開いた。
私の目を見て、ちがうともう一度繰り返す。
「前にも話したやろ。
俺は救われてん、300年前の、生まれ変わる前のAに。
Aと会うてへんかったら俺しんでるし。
ご飯が美味しいこと、
風呂があったかいこと、
布団で寝るのが気持ちいいこと
全部、Aに会わんと知らんかった。
俺、モンスターになれてよかった、
縛られたり、してへんよ。
Aを待つ時間、仲間とおれて楽しかったもん」
柔らかく笑うマサヤに涙が出てくる。
何も思い出せない私が泣いていいはずないのに、溢れ出た涙は止まらなかった。
５６？だってそれは同じものだろうから→←５４向けられる瞳は痛くて鋭い
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MaKoto（埃）(プロフ) - のんさん» コメントありがとうございます。なかったことには絶対したくないし、やっぱり６人を追っていきたい気持ちが自分にもあるので、夢の中だけでも６人を描いていきたいです。もっともっとおもしろいものを書くのでそのときはまた読んでください！ (2月27日 12時) (
レス) id: 7941e71030 (このIDを非表示/違反報告)
のん(プロフ) - お疲れ様でした。完結ありがとうございます、彼がずっと大好きで、これからも大好きです。まだ受け入れられないし、私の中では6人でAぇ!groupとしか考えられなくて…。なのでこれからも6人の物語が読みたいです。MaKotoさんの書くお話が大好きです。楽しみにしています (2月27日 11時) (レス) @page40 id: 8e0d3b7125 (このIDを非表示/違反報告)
み - 初めて読みましたが泣ける。生まれ変わってまた6人が会える日が来ると願います。更新楽しみにしてます (12月21日 15時) (レス) id: 6eca363505 (このIDを非表示/違反報告)
もんびちぇ - 更新ありがとうございます🙌🏻小島くんも佐野くんも悲しいです😢これからも更新頑張ってください💪🏻🔥 (8月9日 12時) (レス) @page33 id: 33203d08f7 (このIDを非表示/違反報告)
もんびちぇ - 更新ありがとございます😭😭😭小島くん悲しいです😭これからも更新楽しみにしてます！更新ファイトですっ！！！！！！ (5月15日 9時) (レス) @page31 id: dc37ea6a32 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：MaKoto | 作成日時：2022年3月26日 11時
