５３？無知が待ち望んだものはこれか ページ26
自分の体から、涙はとっくに消えていたと思っていた。
300年ぶりに泣いた瞳で５人を見つめる。
今までにないくらい不機嫌に俺を見つめるコジマ。
そんなコジマと俺を交互に見るタイセー。
顔を見合わせ、不安そうに首をかしげるマサヤとマサカド。
きっとすべてをわかっている、リチャ。
「俺はAに何度もあいつを見た。
……お前らも知っとる、ずっと探してきた、俺の婚約者」
10の瞳が次の言葉を待っているのを確認して、話し始める。
相槌はいらない。これは独白に近い。
Aがあいつならどれだけいいだろうとずっと思っていた。
日を重ねるほど、「あいつだったら」という希望が
「あいつかもしれない」という可能性に変わっていった。
だけどそれはなかなか確信にはならなかった。
そんなとき、コジマが飛べなくなった。
俺は知っている。
それが”願いを叶えた合図”だということ。
一人で大量に立てた仮説の一つが、有力候補に上がった。
立てたはいいけど、そんなわけないと切り捨てようとしていた仮説だった。
それを確かめるために、さっき俺は飛んだ。
いつもどおり飛べたら俺の杞憂で終わるはずだった。
飛べなかった。
俺にも、合図がきた。
嬉しかったよ、やっぱりAはあいつなんだとわかって。
……そうやな。ゆうべコジマも同じことを思ったやろ？
俺が立てた仮説は……今から言う。
きっと正解に近い、というか確実に正解だと思う。
俺らが探してきた女って、同じ人間なんちゃうか。
よく考えたらおかしいねん。
こんな狭い町で若い女が同時期に何人もしぬなんてこと、ありえへん。
あったとしても少しは噂になっとったはずや。
でも、お前らが話すお前らの女と、
俺とリチャが知っとるあいつは全然ちゃうかったからさ。
そうやろ？
別人やねん、話の中では。
けど、話の中の動線は繋がってんねん。
タイセーの通学路はあいつがよく通っていた道だし
あいつはコジマの言う通り当時じゃ名の通った呉服屋の娘だったし、
だからあいつが誰かと……
マサヤと住めるような小さな別荘を持っていてもおかしくない。
俺が知らないだけで。
俺らは300年、あいつのことを知らないまま
あいつを探しとったんや。
……やっと、見つけたのになぁ。
俺だけの、そしてお前らだけの、あいつちゃうかったんや。
５４向けられる瞳は痛くて鋭い→←５２？二人の幸せだけを願った三世紀
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MaKoto（埃）(プロフ) - のんさん» コメントありがとうございます。なかったことには絶対したくないし、やっぱり６人を追っていきたい気持ちが自分にもあるので、夢の中だけでも６人を描いていきたいです。もっともっとおもしろいものを書くのでそのときはまた読んでください！ (2月27日 12時) (
レス) id: 7941e71030 (このIDを非表示/違反報告)
のん(プロフ) - お疲れ様でした。完結ありがとうございます、彼がずっと大好きで、これからも大好きです。まだ受け入れられないし、私の中では6人でAぇ!groupとしか考えられなくて…。なのでこれからも6人の物語が読みたいです。MaKotoさんの書くお話が大好きです。楽しみにしています (2月27日 11時) (レス) @page40 id: 8e0d3b7125 (このIDを非表示/違反報告)
み - 初めて読みましたが泣ける。生まれ変わってまた6人が会える日が来ると願います。更新楽しみにしてます (12月21日 15時) (レス) id: 6eca363505 (このIDを非表示/違反報告)
もんびちぇ - 更新ありがとうございます🙌🏻小島くんも佐野くんも悲しいです😢これからも更新頑張ってください💪🏻🔥 (8月9日 12時) (レス) @page33 id: 33203d08f7 (このIDを非表示/違反報告)
もんびちぇ - 更新ありがとございます😭😭😭小島くん悲しいです😭これからも更新楽しみにしてます！更新ファイトですっ！！！！！！ (5月15日 9時) (レス) @page31 id: dc37ea6a32 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：MaKoto | 作成日時：2022年3月26日 11時
