10 個の願い【伏黒恵】 (ページ10)

今日:1 hit、昨日:4 hit、合計:23,817 hit

･ページ10

･

･

『っはぁ～！楽しかった』

乗り物から降り手を挙げ伸び伸びするA

｢結構濡れるな｣

と俺はタオルで濡れた体を拭く

『少し休憩したら他のところ行こ！』

｢ジェットコースターは1回無しで

･

その後何個かのアトラクションを周り

当たりを見てみればもう日が落ちてきている

『あ！恵くん！パレード見よ』

と俺の手を取り走っていくA

『うわぁ綺麗…』

と目を輝かせながら見るA

その顔は少し切なそうでどこか悲しそうにしていた

｢あぁ綺麗だな…｣

2人で話しながらパレードを見ていると

終わってしまった

長かった様で短かった数十分間

『死ぬ前に1度は来れてよかった』

『初めても恵くんでよかった』

と言うAに

俺はただその言葉を聞いている事しか出来なかった

なんと声を掛ければ

返事をすればいいか

俺には分からなかった

本当に何も出来ない自分に嫌気がさし

俯く

するとAが下から顔を覗いてきた

『恵くん？大丈夫…？』

｢っあぁ、ごめん｣

『ううん。あのさ恵くん』

『私は今幸せだから気にしないで』

と儚く笑うA

俺は思わずAを抱き寄せる

｢残り5日｣

｢今よりもAを幸せにできるように頑張る｣

｢Aが悔いなくいけるように…頑張るから…｣

そう言い終わると俺は気付かない間に泣いていた

『泣かないで』

『恵くんの泣き顔は見たくないよ』

と俺の頬を両手で優しく包み込んでくれるA

｢ｸﾞｽｯ…分かった…｣

俺は涙を拭いAをもう一度抱き締める

『恵くん…』

『大好きだよ』

｢俺も｣

｢大好き｣

･

･