混ぜたら何色？【完結】 (ページ26)

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「あ、ビール！俺も飲む！」

髪を乾かさずにやってきた北斗は右手にドライヤーを持っている

「ハイ、」

ソファに座り俺にドライヤーを渡す

俺はそのまま隣に座って髪を乾かす

これも俺の日常

「え！樹が乾かしてんの！」

「濡れたままだと風邪引くって怒るの。前からそうだったでしょ？」

前の家にいた時も、なんなら園にいた時も、

北斗の髪を乾かすのは俺の役目だった

給料を貰ってそれがタオルからドライヤーになっただけ

プシュ、

北斗が缶ビールに口をつける

「ふぅ、やっぱお風呂上がりは美味しいね」

「ね！そうだよね！」

「ってまだジェシーお風呂入ってないじゃん」

くすくすと笑う北斗を見るジェシーの目

気付いてないとでも思ってんのか？

ジェシーが北斗を好きなことなんて昔から知ってる

俺は北斗も大切だけど、ジェシーだって大切なんだよ

世界を回っていろんな人に会って、

でもきっとジェシーにとって北斗の特別さは変わらなかったんだと思う

「よし、終わり」

「ありがと樹～」

ぎゅ、と抱きつくのは北斗の癖

「ありがとうと一緒にぎゅーするともっとありがとうになるんだよ！」

ただ北斗に抱きつきたかったジェシーの言葉を間に受け、

「ほく、これからありがとの時ぎゅーってするね」

と約束して以来、北斗の癖になっている

「北斗まだそれしてるんだね」

「それ？あぁ、抱きつくやつ？やっちゃうんだよね」

何で抱きつくのかは分かんないんだけど、と言う北斗は

どうやらジェシーとのやりとりを忘れているらしい

「他人にはしないように気をつけてるけどね。樹とジェシーにはいいでしょ？」

そう笑う北斗を見て、

「小悪魔になったね、」

とジェシーが呟いた