you know I love u? (ページ8)

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side blue

「久しぶりにゆっくり海見たなー」

さっきから一言も話さない北斗に

俺はなんで声をかけるべきだったんだろう

好き？

愛してる？

お前しかいらない？

そんな言葉じゃ伝えきれないのに

涙を浮かべるその横顔すら綺麗だと思う俺は、

もう末期だ

「…お前に、幸せになって欲しい」

「……樹がいないのに？」

「俺がいなくても。幸せに、ってこんなんずるいよな俺」

「…ううん。樹もね、」

一度も伝えられなかった『好き』

北斗の隣を巡って慎太郎と喧嘩したあの夏も

北斗とこっそり二人で夏祭りに行ったあの夏も

もう戻ってなんてこない

だから、目に焼き付ける

今の北斗を

綺麗で可愛くていじらしくて面倒くさい

大事な大事な俺らの北斗を

「…ねぇ、樹？もし俺が20年経っても30年経っても、還暦過ぎておじいちゃんになっても、もし、

まだ…まだ、樹を待っていたとしたら。そしたらどうする？」

遠くの地平線を見て、涙を流し続ける北斗を見て

やっぱり綺麗だとしか思えない俺は

本当に馬鹿だ

「…慎太郎と、迎えに行くよ。俺らは3人で1つだろ？」

海の家を見ると、ぼーっと俺らを見つめる慎太郎

慎太郎と俺の気持ちなんて一緒で

言わないけど、北斗の気持ちだってみんな分かってて

でもこの3人の関係が何よりも大切だった

「…うん、じゃあ待ってるね。いくつになるか分からないけど、いつまでも」

「がんばれよー！」

「負けんなよー！」

「元気でなー！」

俺の出発の日

二人は来なかった

俺の活動拠点はアメリカになるらしい

「樹さん、行きましょうか」

俺のオクサマと2人でのアメリカ生活が始まる

「絶対お前らのところに戻ってくるから」

俺が自由になれるまでは、まだまだ時間がかかる

それまで北斗を頼むよ、慎太郎

fin