lover “green” ページ18
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side green
突然だが、俺には悩みがある
それはオンナノコを可愛いと思わないこと
いやもちろん好みの顔見たら可愛いなとは思うし、
小さくて細い子を見たら小動物みたいで可愛いなとも思う
でもどうしてか恋愛感情は湧かない
この子だけを守りたいとか、この子だけを見ていたいとか
例えば巷の恋愛ソングで歌われるような感情を
俺はこの23年間経験したことがない
かと言って男性への恋愛感情があるわけでもなく
告白された子ととりあえず付き合ってみて、必ず振られる
「私のこと好きじゃないでしょ？」
この言葉付きで
好きじゃないでしょ、と言われたら確かに好きから始まったわけではないけど
でも好きじゃなかったわけでもないと思う
好きだよ、と言われて俺も好きだと思ったし
俺から好きだよ、と言ったことはなかったけどさぁ…
これの繰り返しだ
そんな俺が出会ってしまった
いや、正確には出会うことになるのか
この時の俺はまだ知らなかった好きって感情を
教えてくれる相手が現れることになる
…なんてこと、この時の俺は露知らず
今日もいつも通り寝坊して、授業に間に合うか合わないかの狭間を生きていた
「あ、乗ります乗ります！」
8階の大教室での一限授業、それがよりによって寝坊するなんて！
いつもなら階段を使うけど…
急いでるからと誰かに言い訳をしながら、ちょうど止まったエレベーターに駆け込んだ
エレベーターが着くまで１分、教授はいつも遅れてくるからギリギリ間に合うかな
頭の中でうっすらと計算してほっと胸を撫で下ろす
そして安心したと同時に香るいい匂い
そういえばエレベーターを止めてくれたこの人も8階なんだなと気付く
8階の授業はあれだけのはずだし、きっと同じ学部の人だと納得する
8階に着くまで暇だから、なんて理由で興味本位で乗り合わせた彼を見た
後ろ姿しか見えないけど、イケメンそう
緩くパーマのかかる黒髪はツヤツヤだし手入れが行き届いてそうだ
こんなイケメン教室にいたっけ？
考えてみても特に誰も思いつかなくて、とりあえず考えることを放棄した
今思えばこの時ここまでこの人の特徴を明確に覚えてるなんて、俺にしちゃ珍しいんだよな
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作者名：ぷりむら
| 作成日時：2020年9月3日 7時
