秘めた想い 〜幸せを捨てる決意〜

8話 沖田 side ページ9

俺の想いはつくづく叶わねぇもんだと最近よく思うようになった


朝、剣道場で泣いてるAを見つけて思わず抱きしめてしまった


Aはそれを拒むこともせず、だからといって受け入れたわけではなかった


兄弟のように育った幼馴染として、もうあいつの考えてることも行動パターンも大体はわかるようになった


だから……


俺がどう足掻いてもアイツの気持ちが俺にむくことはないってのもわかる


でも俺ってやつは愚か者だから利用されてても、それでいいって思ってしまう


一時だけでいい


アイツの目に俺がうつっていられるなら


俺はとことん利用されてやろうじゃねーか、なんて…


Aは俺を利用してるつもりはないんだろう


けど、Aの事だ…そろそろ気付いてしまってもおかしくない


沖｢……ホント報われねーや｣


自室で寝ようとしていた俺だが、思考を繰り返していたため珍しく眠りにつけなかった


その代わりに出てきたのがこの独り言


俺は気分転換にとAがいるであろう縁側に行こうとした


しかし、Aの隣は既に先客がいた


しかも……


くっそ、ニコチン中毒マヨかよ


少しの苛立ちを抱え、俺は部屋に戻ろうとした


その時＿＿＿


土方がAの肩に寄りかかって寝始めたのが目に入った


少しの苛立ちは一気に増幅し俺の思考を蝕む


それでも……


夕焼け色に染まったその空間で嬉しそうに顔を綻ばすAに目が惹かれる


Aの切なくも嬉しそうな微笑んだ顔はとても綺麗でこの世のものとは思えなかった


そしてあんな顔をさせられるのは俺なんかじゃねぇ


あ｢好き、だなぁ｣


Aの口から漏れたその想いは諦めと悲しさが混ざっていた


くっそ


土方はいつも俺の大切な人を心から根こそぎかっさらってく


姉上の時も、今も……


土方が本当に悪い奴じゃねーことは承知してる


けど……それでも……


沖｢……どうすりゃいいんでィ｣

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