ほっとひといき３【梅原裕一郎】 (ページ8)

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恋のライバル…？ページ8

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「ずっと好きでした …付き合ってくれませんか」

頬を薄くピンクに染めてジッとこちらを見上げる女。

その頬が緊張によるものなのかチークによるものなのか自分には判断がつかないな、とかなんとなく考えながら、口からは「あー」と気のない声が漏れた。

「神代さんと付き合ってるのは知ってるんです！だから、2番目でいいので…！」

「に、2番目…？」

2番目の女…、って本当にキープしとく男っているのかな。
作り話の中だけだと思ってた。

梅原はなるべく相手を傷つけないように、少しだけ頭を下げた。

「ありがとうございます、でも遠慮しておきます」

「私のこと苦手ですか…？」

何度か会話もしたことあるし、遠出したときにお土産だって渡したことのあるスタジオのスタッフ。

正直それ以上でも以下でもなかったが、こんな風に目を潤ませて食い下がられるとだんだんと＂苦手＂の部類に入ってきてしまいそうだ。

「いや、そんなことはないですケド」

「じゃあなんでダメなんですか？梅原さんに迷惑はかけませんし、神代さんにも絶対にバレないようにします！」

「そういうことじゃなくて」

この女のメンタルは鋼か？
たしかに結構いいケツしてると思うし、客観的に見て胸も豊満だ。

顔だって悪くないんだから、俺じゃなくて他の男を当たってくれればいいのに。

「最初は身体の関係だけでもいいんです…！」

「身体の関係って… あのね、無茶言わないでください俺にそんな気はないですから」

諦めの悪さに完敗し、「それじゃあ、失礼しまーす」と一方的に話を切り上げスタジオのエレベーターへ向かう。
流石にここまでは追いかけてこないだろう、と息をついたところで、ガタンとエレベーターの扉が突然開き戦慄する。

「うおッ！」

「じゃあ！まずはお友達からでいいです…私、諦めませんから…！」

閉まる直前のエレベーターの扉をこじ開けてまでそう言うと、驚きで声の出ない梅原を置いて女は去っていく。

怖い思いをした…と梅原は胸をさすりながら独りごちた。