ほっとひといき３【梅原裕一郎】 (ページ15)

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『え…？』

ぼそりと呟かれた言葉に、なんと返せばいいのかわからず黙る。

裕一郎も、思わず口に出てしまったかのように少しびっくりしていた。

「…いや、今日いろいろ見て思ったんだけど、やっぱり俺の家が一番セキュリティも固いし、Aも住み慣れてるんじゃないかなって」

『それは…つまり、今までみたいに裕一郎のところにお世話になるってこと？』

裕一郎は優しい。
しかも一度危ない目に遭った私だ。
「自分が支えなきゃ」って思っちゃうんだ。

でも、そんな同情なんて…

「ちょっと違う」

『え？』

違うって？

裕一郎、なんでそんなに無表情なの？
私知ってるよ、そうやって顔から表情が無くなるのは、裕一郎が緊張してるとき。

「俺と結婚したら、別々に暮らさなくてもいいだろ」

『……けっこん』

「…別に、今すぐが嫌って言うなら日を改め…」

目を逸らして言う裕一郎に逃げられないように、ガッシリと腕を掴んだ。

『す、する！したいです、結婚…！』

「ほんとに？」

『ほんとに！！』

もう、部屋の内見とか、大人とか子供とか、そんなのどうだってよくなってしまった！

裕一郎が勇気を出して言ってくれた！
深く息を吐き出しているその顔を見れば、緊張していたことなんて丸わかりである。

「よかった」

そう言って抱き込まれたけど、人の往来が激しい道端ではなかったため私も抱き締め返した。

「本当はもっとちゃんと言おうと思ってたんだけどな」

『私が出て行っちゃうかもって思ったら、寂しくなっちゃった？』

ちょっとからかうように尋ねると、裕一郎はいつもの仏頂面に戻って言い返してきた。

「いーや、お前の危機管理能力が無さすぎて心配になった」

『でもこれからは裕一郎が一緒にいてくれるもんね』

「おー、死ぬまでお前に迷惑かけられてやるよ」

『好き』

背伸びをして顎辺りに唇を付ける。
すると、こっち、とばかりに頭に手を添えられ今度は唇同士が触れ合った。

「俺も」

こんなに幸せでいいのかな。