ほっとひといき３【梅原裕一郎】 (ページ14)

今日:4 hit、昨日:15 hit、合計:64,423 hit

内見ページ14

_______________________________

「絶対ダメ」

『また！？なんで！？』

ひとしきりモデルルームを身終えると、裕一郎は本日2回目の却下という判断を下した。

「インターホンにモニター付いてねーじゃん」

『でもここ駅からそんな遠くないし、裕一郎の家からも近いし… 私の第一候補なんだけど！』

いつまでも裕一郎の家に居候しているわけにもいかない。
そんな思いはずっと頭にあったが、あまりの居心地の良さにしばらくの間甘えていた。

しかし裕一郎とは対等な関係でいたい。
そうして仕事の合間を縫って、ネットで物件を調べたり実際に不動産屋に出向いて相談したりした。

そんなこんなで絞った候補の内見に、「ついて行く」と言って聞かない裕一郎を連れて本日。

この一日だけで個人的な第一候補と第二候補を否定されてしまった。

「お前車持ってんだろ駅近より防犯優先しろ」

『ええ～、でも…！』

「ええ～じゃねぇインターホンはモニター付き、オートロックは基本中の基本だから」

『厳しい… そしたらまた探し直しだよ！』

「そうしろよ絶対お前の親でも俺と同じこと言うと思うぞ？」

頑なな裕一郎に押し負け、不動産屋の担当者に軽く謝りを入れて現在帰宅中。

一日に二件も回ったからか、空はもう綺麗な夕焼けだ。

『せっかく理想に近い家見つけたと思ったのに…』

「Aまだ懲りてねーの？」

わかってる。
裕一郎が私を心配して言ってくれていることなんて。

でもいつまでも心配して守ってもらうなんて、そんな関係はもう嫌なんだ。

『わかってるよ今度はちゃんと裕一郎も納得するようなお家探すから』

私だって、もう立派な大人なんだ。
いつまでも子供みたいに彼氏に縋りつくなんてみっともないじゃないか。

ふと隣を見るとそこに裕一郎の姿はなくて、足を止めて振り返る。
どうしていきなり立ち止まったんだろう。

「……そんなに俺の家から出て行きたい？」