． ページ6
表情を変えずに尾形は続ける。
「結局アイツは一人で映画を観たらしく、後でメッセージで恨み言を送ってきやがった」
「そりゃそうだろ」
「だから俺は一万円を入れたギフトカードを送ったんだ」
「…ん？」
「そしたら今度は��私を金で買えるような女だと思ってるのか��とか��舐めてるだろ��だとか何とか送ってきやがった 訳が分からん」
「…はい？」
顔を引き攣らせる杉元・白石とは反対に、宇佐美と鯉登はニヤニヤと笑った。
この甘ったれのガキにしっかりとお説教をしてやるのだ、と。
「貴様、随分と今まで女に縁の無い人生を送ってきたんだろうな…」
「オイ、その憐れみの目を向けるのをやめろボンボン 俺が童貞を卒業したのは中学生だ」
「ふ、不埒だッ！！」
「そ〜んな経験豊富な百之助が、どうしてあんなチンケな女ごときに貢いでるのさ？」
「…アイツに不自由な暮らしをさせたくない、から…」
「「はわわ…！」」
杉元と白石は今度は互いに手を握り合って頬を染めている。
気持ち悪い。
前世ではそこまで甲斐性があるとは言えなかった。
あの女の求めるものなど分かろうとしなかった。
「俺が与えられるものなんて、それぐらいしかない」
喜ぶ顔が見たい。
ただそれだけなのに。
「ほ〜んと、甘ちゃんだなぁお前」
「はッ、何か間違ったことを言ってるか？」
自嘲するように漏らした尾形に、白石は腹の立つ上目遣いのまま穏やかな口調で問いかけた。
「好き！とか愛してる！とか言ってあげたことあんのか？Aちゃんに」
はたと思い返す。
しかしいくら過去を遡っても、たとえ百年前にまで遡っても尾形の記憶にはそんな甘い言葉を囁いた覚えは一度たりとも無かった。
口を一文字に噤み、顔色が徐々に悪くなっていく尾形を見て一同は察した。
「…杉元裁判長、判決を」
「死刑」
「待て待て待て、わざわざそんなもん口に出さんでも…」
「前世から通じ合ってるって？傲慢だねぇ〜」
「想いも伝えずデートの約束も破るとは… フフン、これはやはり本格的に嫌われてもおかしくないのでは？」
まさにフルボッコ。
尾形は冷や汗をダラダラと垂らしながら、訳も分からないまま席を立った。
その勢いにテーブルがガタンと音を立てる。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 142人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
久遠(プロフ) - 宇佐美の狂ってる感じが最高でした！ありがとうございます😊 (4月7日 21時) (
レス) @page43 id: d025dfcb18 (このIDを非表示/違反報告)
豆腐プリン(プロフ) - 鯉登の現代ver.と明治ver.両方見てみたいです！よろしくお願いします！ (4月7日 10時) (レス) id: b06481f634 (このIDを非表示/違反報告)
久遠(プロフ) - リクエストなんですが、宇佐美との話欲しいです🙇🏻♀️現代でも明治でも良いです！ (3月24日 22時) (レス) @page37 id: d025dfcb18 (このIDを非表示/違反報告)
豆腐プリン(プロフ) - めちゃくちゃいい話で感動しました〜😭ありがとうございます！ (3月18日 0時) (レス) @page31 id: b06481f634 (このIDを非表示/違反報告)
豆腐プリン(プロフ) - やばい！鶴見中尉との関係めっちゃ好きすぎて叫びそうです！笑 リクエストなんですがもし夢主だけ生存して鯉登オチだったらっていうと軍に入っていない少し幼い夢主と鶴見との絡みが見てみたいと思ったのですが出来ますでしょうか??お願いします！ (3月13日 23時) (レス) id: b06481f634 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぽなふ | 作成日時：2024年2月25日 23時
