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「ちょっと、やりづらいんですけど」
「大した料理じゃねぇだろ」
「はあ？そんなこと言うなら尾形さんの分作らない！」
「俺アボガド多め」
「コイツ…！」
キッチンで作業をするAを背後から抱き締めるように体重をかける尾形は、小さなどんぶりに白米が盛られていくのをジッと見ていた。
電子レンジで解凍した白米の上に、つまみ用に作り置きしていたネギトロとアボガドの和物をせっせと乗せていく。
尾形の要望通りアボガド多めのどんぶりと、それよりは少量のどんぶり二つをあっという間に完成させたA。
「あっちで食べよう」
尾形は頷くと、どんぶりを二つ持って食卓という名のローテーブルに置いた。
食器類と麦茶を持ったAがその後に続く。
二人は手を合わせると、まだ薄暗いカーテンの外をよそにポキ風ネギトロ丼を食らった。
ごま油が効いていて美味しい、とAは自画自賛する。
「こんな時間に食うもんじゃねぇな」
「でも美味しいでしょ？」
「…うん」
珍しく素直な尾形に、Aは目元を緩める。
「こうやって美味しいものを二人で食べてたらさ、過去のアレコレも皆、今この時間のために必要なことだったんだって思えてくるんだよね …私たちがあの時列車の上で死を選んだのも、ただの無駄死になんかじゃない こうやって二人で夜食を食べるために必要な死だったんだ、って」
「……」
「だからさ、これから毎年この日は思いつく限り美味しいものを食べる日にしようよ そしたらこの日が近づいてくるたびにワクワクして、それで目や腕が痛いのだってきっといつか気にならなくなる」
尾形は目を見開いた。
目が痛むのは自分だけだとばかり思っていた。
まさかこの女も同じような痛みを抱えていたのか。
隣に座る華奢な女の右腕にはもちろん傷一つ無いだろう。
それでも前世の業か、呪いか、自分たちは完全に痛みを捨て去ることは出来ない定めらしい。
尾形は箸を置くと、Aの身体に手を回した。
労わるように右腕をさする。
「そいつは良い考えだ 来年はあんこう鍋だな」
「いや私の話聞いてた？過去引きずりすぎでしょ」
こうして傷を舐め合って、これからも自分たちは生きていくのだろう。
この女とならそんな人生も悪くない、と尾形は珍しく穏やかな気持ちでそう思った。
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久遠(プロフ) - 宇佐美の狂ってる感じが最高でした！ありがとうございます😊 (4月7日 21時) (
レス) @page43 id: d025dfcb18 (このIDを非表示/違反報告)
豆腐プリン(プロフ) - 鯉登の現代ver.と明治ver.両方見てみたいです！よろしくお願いします！ (4月7日 10時) (レス) id: b06481f634 (このIDを非表示/違反報告)
久遠(プロフ) - リクエストなんですが、宇佐美との話欲しいです🙇🏻♀️現代でも明治でも良いです！ (3月24日 22時) (レス) @page37 id: d025dfcb18 (このIDを非表示/違反報告)
豆腐プリン(プロフ) - めちゃくちゃいい話で感動しました〜😭ありがとうございます！ (3月18日 0時) (レス) @page31 id: b06481f634 (このIDを非表示/違反報告)
豆腐プリン(プロフ) - やばい！鶴見中尉との関係めっちゃ好きすぎて叫びそうです！笑 リクエストなんですがもし夢主だけ生存して鯉登オチだったらっていうと軍に入っていない少し幼い夢主と鶴見との絡みが見てみたいと思ったのですが出来ますでしょうか??お願いします！ (3月13日 23時) (レス) id: b06481f634 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽなふ | 作成日時：2024年2月25日 23時
