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「俺から離れていくな… 記憶が無いぐらいで、俺を… 俺を捨てないでくれ…ッ！」
記憶が戻ったばかりでは混乱もする。
小刻みに震えている尾形の肩を、後頭部を、Aも震える手で何度も撫でた。
たったの十数年しか生きていない彼は今、百年前の業を、後悔を、一身に受け止めている。
「ごめんッ、ごめんなさい尾形さん …生まれ変わっても私は臆病な女だった！血に染まった私の手では、あなたを幸せにできないと思った！全て忘れていた方が幸せなんじゃないかって…」
「勝手に決めるな！朧げだが俺は覚えているんだ、ずっと長い長い
人を殺せば地獄行き。
昔、アシリパがそんなことを言っていたような気がする。
地獄に落ちて禊ぎ終わった、なんて甘いことを言うつもりはない。
それでも…、それでも私たちが再び幸せを掴もうとするのは罪だろうか？
「俺が欲しかったものは百年前からずっとそばにあった… 今度こそ間違わない …ハッ、ハハ、残念だったなA お前は今世でも俺から逃げられないんだよ…！」
言葉とは裏腹に、こちらを抱き締める腕は未だ弱々しい。
Aはブンブンとかぶりを振った。
尾形の肩に顔を擦り付ける結果となってしまったが。
「もう逃げないし逃がさないから！絶対…ッ！」
強くてニューゲーム、だなんて思ってはいない。
それでもAは、今度こそこの男と幸せを築いていくのだと決心した。
ひとしきりワンワン泣いた二人はそれから誰かが来るまで『山猫の死』の前で手を繋いでいた。
ポツポツと互いのこれまでの話をした。
集合時刻をとっくに過ぎていたらしく、探しにきた担任に盛大な舌打ちをかました尾形が面白くて吹き出したら、担任に変なものでも見るような目を向けられた。
そのまま集合場所まで戻ると、クラスメイトたちからもギョッとしたような視線を頂戴した。
酷い顔をした二人が仲良く手を繋いで現れたのだ、理解が追いつかないのだろう。
こちとら百年前からこの人のそばにいるのだ。
お前らの目なんてどうだっていい。
いつまで経っても手を振り払う様子のない尾形に、そう自惚れてしまうのも無理はなかった。
《Fin》
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なお(プロフ) - 最後の結末はあの花を意識されてますか！？ (5月6日 11時) (
レス) @page46 id: b9f10e639b (このIDを非表示/違反報告)
ぽなふ(プロフ) - 塩トマトさん» いつも感想とてもモチベになりました！こちらこそ長く読んでくださってありがとうございました (2月26日 16時) (レス) id: 501bdc7901 (このIDを非表示/違反報告)
ぽなふ(プロフ) - べちゃべちゃだいこんおろしさん» 泣いていただけてこっちも感涙です…！完結できてよかったです (2月26日 16時) (レス) id: 501bdc7901 (このIDを非表示/違反報告)
ぽなふ(プロフ) - 豆腐プリンさん» うわ〜いつも感想とても励みになりました！ありがとうございます (2月26日 16時) (レス) id: 501bdc7901 (このIDを非表示/違反報告)
塩トマト(プロフ) - 完結おめでとうございます！ずっと素敵な文章と物語に感動と喜びと驚きとドキドキで満たされました！ありがとうございました！ (2月26日 15時) (レス) @page46 id: ce7328f6ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽなふ | 作成日時：2024年1月23日 23時
