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その日は授業を受ける気にならず、かといって家に帰れば気の狂った母に何を言われるか分かったものではなかったため、Aは学校から家とは正反対の道にある小さな公園に逃げ込んだ。
公園と呼ぶにも値しないこの小さな広場は、記憶が戻る前から自力で見つけていた隠れ家のような場所であった。
そこでたくさん泣いた。
声を上げて泣いた。
そして吹っ切れた。
尾形は前世を忘れ、正しく今を生きているのだと分かって安心した。
前世の記憶がある方がおかしいのだから。
前世で彼が生きてきた人生はお世辞にも上々だったとは言い難い。
それならば無理に思い出さず、これからの人生を謳歌した方が彼のためにも良いことだと思えた。
「…でも、ごめんなさい せめてこれだけは…」
気掛かりは一つだけ。
今世がどこまで前世を
『香坂A』に『尾形百之助』。
名前どころか苗字まで明治の頃と一緒なのだ。
それに加えてAの両親は熱心な新興宗教家で、いわゆる家庭崩壊状態にあった。
度重なる重度の献金と狂気的な儀式。
Aが流行病に罹った際も薬の類は一切禁じられ、よもや明治時代の方が進んだ医療を受けられることになろうとは想わなかった。
命の危険に瀕した際にギリギリで前世での記憶を取り戻したおかげで、それ以降は一般的な同年代よりは頭が回るし身体が動くのが救いだった。
そうでなければ、飢えや病気、DVなどですでに軽く数回は死んでいたかもしれない。
これがもし尾形も同じ状況だったら？
生まれ変わっても似たような家庭環境であったのなら、記憶の無い尾形は相当苦しめられているに違いない。
もう彼には二度と前世のような苦しみを味わってほしくない。
エゴと言われてもいい。
それでもAは、尾形の幸せを願わずにはいられなかった。
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なお(プロフ) - 最後の結末はあの花を意識されてますか！？ (5月6日 11時) (
レス) @page46 id: b9f10e639b (このIDを非表示/違反報告)
ぽなふ(プロフ) - 塩トマトさん» いつも感想とてもモチベになりました！こちらこそ長く読んでくださってありがとうございました (2月26日 16時) (レス) id: 501bdc7901 (このIDを非表示/違反報告)
ぽなふ(プロフ) - べちゃべちゃだいこんおろしさん» 泣いていただけてこっちも感涙です…！完結できてよかったです (2月26日 16時) (レス) id: 501bdc7901 (このIDを非表示/違反報告)
ぽなふ(プロフ) - 豆腐プリンさん» うわ〜いつも感想とても励みになりました！ありがとうございます (2月26日 16時) (レス) id: 501bdc7901 (このIDを非表示/違反報告)
塩トマト(プロフ) - 完結おめでとうございます！ずっと素敵な文章と物語に感動と喜びと驚きとドキドキで満たされました！ありがとうございました！ (2月26日 15時) (レス) @page46 id: ce7328f6ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽなふ | 作成日時：2024年1月23日 23時
