二百八十一 ページ31
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痛い。
痛いが、矢の痛みなどたかが知れている。
「うぐ…ッ、ぅおおおおッ…！！」
かつて眼球に食らったときは流石に意識を保ってはいられなかったが、腹部であればすぐに毒を取り除けば間に合う。
尾形は杉元の取り落とした刀を取り、短く持つと躊躇なく自身の腹に突き立てた。
二の矢をつがえているアシリパは視界の端に捉えている。
急いで腹を裂き、毒の塗られた矢先を取り出さないと。
かつてアシリパが仕留めた獲物にしていたように。
まだ、死ねない。
「アシリパさん、射てッ！！」
「アシリパやめてッ！！」
この状況でもう一矢食らってはひとたまりもない。
毒矢を取り除くと、尾形は小銃を拾い上げて構えた。
やはり躊躇している様子が見られるアシリパより、こちらの方が先だ。
A、そんな心配そうな顔をするな。
すぐに片を付けてお前の怪我を＿＿＿。
「…ッ！」
視界を遮るように立ち塞がっているのは、何度も悪夢で魘された黒い将校服。
にこやかな笑みを浮かべながらも、その男は額からこれみよがしに夥しい程の血を流している。
まさか俺を嘲笑っているつもりか？
途端に目に映る全ての光景がぐにゃりと歪んでいった。
ここは現実か、それとも悪夢の中か。
何度か瞬きをしてみても、全く効果は無かった。
「邪魔ばかりしやがって、この悪霊が…」
いや、果たして本当に悪霊なのかな。
考えてみれば、そう、不思議じゃないか。
アシリパを…、アシリパに銃を向けるたびに、勇作が出てきて邪魔をするのはなんでだ。
「はあ…！？」
向き合おうとしてこなかった。
「何の話だ！」
ふわりと後ろから何かに包み込まれる。
この匂いは、この体温は。
「A…？」
目を背け続けてきたものの正体は、それは＿＿＿。
罪悪感だ。
「いや幻覚だッ！毒！毒だ！！目玉を抉られた傷のせいだ…！！」
背後から回された片手は、尾形の身体を抱き竦めるかのように力が込められた。
「尾形、さん… 私は、思うんです… ��罪悪感��というものは、魔物の、形を、しているんじゃないかって…」
「魔物…」
「一度目を合わせてしまえば最後、死ぬまで付き纏ってくる」
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なお(プロフ) - 最後の結末はあの花を意識されてますか！？ (5月6日 11時) (
レス) @page46 id: b9f10e639b (このIDを非表示/違反報告)
ぽなふ(プロフ) - 塩トマトさん» いつも感想とてもモチベになりました！こちらこそ長く読んでくださってありがとうございました (2月26日 16時) (レス) id: 501bdc7901 (このIDを非表示/違反報告)
ぽなふ(プロフ) - べちゃべちゃだいこんおろしさん» 泣いていただけてこっちも感涙です…！完結できてよかったです (2月26日 16時) (レス) id: 501bdc7901 (このIDを非表示/違反報告)
ぽなふ(プロフ) - 豆腐プリンさん» うわ〜いつも感想とても励みになりました！ありがとうございます (2月26日 16時) (レス) id: 501bdc7901 (このIDを非表示/違反報告)
塩トマト(プロフ) - 完結おめでとうございます！ずっと素敵な文章と物語に感動と喜びと驚きとドキドキで満たされました！ありがとうございました！ (2月26日 15時) (レス) @page46 id: ce7328f6ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽなふ | 作成日時：2024年1月23日 23時
