二百七十九 ページ29
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「この列車で全て片を付け、五稜郭に戻るぞ」
ヒグマにやられたのか杉元にやられたのか、はたまた別の勢力か、鼻から下をズタズタに引き裂かれたもはや虫の息の部下を見下ろしながら、鶴見は独りごちた。
尾形に後方を任せた鶴見は先頭車両までたどり着くと、屋根から下りてさらに前の機関室を目指す。
いくら中央から遠く離れた北の地とはいえ、元第七師団長花沢中将を暗殺し、淀川中佐を脅し、和田大尉を埋め、網走監獄の看守を囚人諸共殺戮、さらに海軍少将である鯉登の父親に駆逐艦まで駆り出させた。
派手にやり過ぎだ、もう鶴見以下第七師団は中央からの厳罰を逃れる術はない、と尾形百之助は考えていたようだった。
しかし、
旅順にはこの権利書を喉から手が出るほど欲している連中がいる。
��関東都督府��である。
彼らは中央政府と対立する立場にあり、権利書は中央に対する有利な交渉材料にできる。
「私は満州で力を蓄え、また戻ってくる」
ふとまだ年端もいかない幼い少女だった頃のAが、自身の肋骨服の裾を掴んでいるような気がして振り向く。
しかしどんなに辺りを見渡しても、在りし日の小さな小さな手はどこにも無い。
鶴見は自身が屋根に取り残してきた彼女の、思い出よりも大人になっていた、血と汗で薄汚れた顔を思い出した。
欠損していた右腕は、彼女が自分で大層誇りに思っていた狙撃の根幹そのものであった。
もう狙撃手としての彼女は死んでしまったのだ。
しかし、自分の命令で犠牲になった部下は数多くいる。
部下たちを迷いなく死に導く死神として、彼女だけを特別に扱うことはできない。
「…私を許せ、A」
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なお(プロフ) - 最後の結末はあの花を意識されてますか！？ (5月6日 11時) (
レス) @page46 id: b9f10e639b (このIDを非表示/違反報告)
ぽなふ(プロフ) - 塩トマトさん» いつも感想とてもモチベになりました！こちらこそ長く読んでくださってありがとうございました (2月26日 16時) (レス) id: 501bdc7901 (このIDを非表示/違反報告)
ぽなふ(プロフ) - べちゃべちゃだいこんおろしさん» 泣いていただけてこっちも感涙です…！完結できてよかったです (2月26日 16時) (レス) id: 501bdc7901 (このIDを非表示/違反報告)
ぽなふ(プロフ) - 豆腐プリンさん» うわ〜いつも感想とても励みになりました！ありがとうございます (2月26日 16時) (レス) id: 501bdc7901 (このIDを非表示/違反報告)
塩トマト(プロフ) - 完結おめでとうございます！ずっと素敵な文章と物語に感動と喜びと驚きとドキドキで満たされました！ありがとうございました！ (2月26日 15時) (レス) @page46 id: ce7328f6ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽなふ | 作成日時：2024年1月23日 23時
