二百七十一 ページ21
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「あ、いや！君も知っているかもしれないが、実は彼とは所謂異母兄弟というものでね！いろいろ積もる話があるんだが、なんせ避けられているような気がして…」
��気がする��ではなく十中八九避けられているのは確実だろうが、そこをわざわざ突くほどAは性悪でもないし少尉に対する悪感情もない。
すぐに満面の営業スマイルを作った。
「そんなことで良ければ、今すぐにでも！」
その後呼び出しに応じた尾形が、Aの隣で心底嬉しそうな笑みを浮かべている腹違いの弟の姿を目に留めて、その額に深く皺を刻んだことは言うまでも無い。
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「尾形さん、喉渇いてませんか？水飲みますか？」
長旅の中で薄汚れてしまったアルミ製の水筒を振って中身がまだあることを確かめると、Aは隣に座る尾形に声をかけた。
しかしいつまで待っても返事は返ってこず、ふと顔を隣に向けてみると、なんともあどけない顔を晒して寝こけていた。
クスリと笑みを溢すと水筒を仕舞い、Aは尾形が纏う即席の外套の頭巾を深くかぶせる。
赤子のような顔で眠る姿は少し微笑ましくはあったが、それにしてもここ数日の尾形はあまりにもよく寝ていると思う。
いや、寝ているというより気を失っている、さらに大袈裟に言えば
今は魘されていないことだけが幸いではあるが、あれほどタフだった元上官の幼い寝顔は、Aの内心に暗い影を落とした。
どんな夢を見ているのかは分からない。
しかしその表情を見る限り悪夢ではないことだけは確かだ。
「もしかしたら、このまま…」
暖かな夢の中で微睡んでいる方が幸せなのかも、なんて。
そんなこと、口が裂けても言えなかった。
二人を乗せた函館本線はすでに小樽を出発していた。
隣の車両からは騒がしい喧騒が漏れ聞こえてくる。
五稜郭でこれから起こるであろう合戦に参戦しに行く、アレクサンドロフスカヤ監獄の脱獄囚たちのもので間違いないだろう。
土方と手を組んだソフィア・ゴールデンハンドの後をつけ、これから激戦場となる五稜郭へ向かうのだ。
英気を養う必要がある。
Aは伸びを一つすると、尾形を倣って目を閉じた。
それからコテンと尾形の肩に頭を預け、少しの間微睡の世界へと旅立った。
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なお(プロフ) - 最後の結末はあの花を意識されてますか！？ (5月6日 11時) (
レス) @page46 id: b9f10e639b (このIDを非表示/違反報告)
ぽなふ(プロフ) - 塩トマトさん» いつも感想とてもモチベになりました！こちらこそ長く読んでくださってありがとうございました (2月26日 16時) (レス) id: 501bdc7901 (このIDを非表示/違反報告)
ぽなふ(プロフ) - べちゃべちゃだいこんおろしさん» 泣いていただけてこっちも感涙です…！完結できてよかったです (2月26日 16時) (レス) id: 501bdc7901 (このIDを非表示/違反報告)
ぽなふ(プロフ) - 豆腐プリンさん» うわ〜いつも感想とても励みになりました！ありがとうございます (2月26日 16時) (レス) id: 501bdc7901 (このIDを非表示/違反報告)
塩トマト(プロフ) - 完結おめでとうございます！ずっと素敵な文章と物語に感動と喜びと驚きとドキドキで満たされました！ありがとうございました！ (2月26日 15時) (レス) @page46 id: ce7328f6ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽなふ | 作成日時：2024年1月23日 23時
