二百六十九 ページ19
その目がAに向けられる。
「彼… いや、彼女はこの間鶴見中尉殿が連れてきた見習いのはずだ どうしてこんな姿になっている？」
「あ、いえ、それは…」
呆気に取られてぽかんと口を開けていると、いつのまにか片手を掴まれ地面から起こされる。
��こんな姿��って、今の自分は一体どんなみすぼらしくボロボロな姿をしているのだろうか。
Aが的外れな心配をしている間にも、花沢勇作はズイと兵士たちに一歩近づき、その立派な体躯で圧を与えた。
美形の怒った顔はとても恐ろしい。
「貴様ら、所属はどこだ？」
「に、仁田班です」
「ならば仁田伍長に… いや、月島軍曹に伝えておこう 後で彼にしっかりと罰を受けるといい」
「そんな！どうか月島軍曹にだけは…！」
「さあ、もう行け」
花沢中将の嫡男であり聯隊旗手でもある花沢少尉にこう言われてしまえば逆らう術などあるはずもなく、二人は泣く泣く走り去っていった。
気味が良いとはまさにこのことではあるが、今後の彼らの報復を考えると恐ろしいところではある。
Aは砂や土を手で払い落とすと、カッチリと敬礼をした。
「助かりました、花沢少尉殿 なんとお礼を申し上げて良いか…」
「礼などいらないよ 鶴見中尉殿がなんと仰ろうと、君は女性の身なんだ こんな蛮行は到底許されるべきではない」
彼が��こんな蛮行��と称するようなイジメは実は毎日のように行われているし、何なら彼の腹違いの兄などは止めるどころかニヤニヤと観察しているだけである。
などとはもちろん言えるはずもなく、Aは深く頭を下げて感謝の意を示した。
軍にもこんな人柄の良い人間がいるとは。
「本来なら君のような幼気な女性がこんな場所にいるべきではないと思うが… 中尉殿の考えることは私にはよく分からない」
少しだけ眉を下げてそう笑う花沢少尉は、Aが普段接している腹違いの兄の方の片頬を吊り上げた嫌味な笑みとは似ても似つかなかった。
少尉はキョロキョロと辺りを見回して周囲に誰もいないことを確認すると、身を屈めてAの耳元に口を寄せた。
「確かに素晴らしく頭の切れる人だとは思うが、私はあの人がたまに恐ろしく感じるんだ」
「恐ろしい…？」
「ああ、現にあの人は内密に君を入隊させ、武器の使い方や人との戦い方を仕込んでいる」
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なお(プロフ) - 最後の結末はあの花を意識されてますか！？ (5月6日 11時) (
レス) @page46 id: b9f10e639b (このIDを非表示/違反報告)
ぽなふ(プロフ) - 塩トマトさん» いつも感想とてもモチベになりました！こちらこそ長く読んでくださってありがとうございました (2月26日 16時) (レス) id: 501bdc7901 (このIDを非表示/違反報告)
ぽなふ(プロフ) - べちゃべちゃだいこんおろしさん» 泣いていただけてこっちも感涙です…！完結できてよかったです (2月26日 16時) (レス) id: 501bdc7901 (このIDを非表示/違反報告)
ぽなふ(プロフ) - 豆腐プリンさん» うわ〜いつも感想とても励みになりました！ありがとうございます (2月26日 16時) (レス) id: 501bdc7901 (このIDを非表示/違反報告)
塩トマト(プロフ) - 完結おめでとうございます！ずっと素敵な文章と物語に感動と喜びと驚きとドキドキで満たされました！ありがとうございました！ (2月26日 15時) (レス) @page46 id: ce7328f6ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽなふ | 作成日時：2024年1月23日 23時
