百五十六 ページ6
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結局その日中に刺青の男が現れることはなかった。
しかし屈強な日本兵たちの存在は瞬く間に噂として村中に広まった、と全ての元凶である店主はヘラヘラと笑いながら言う。
「刺青の男は今夜のスチェンカに出る、大勢がお前らの勝ちに賭ける、お前らがガッツリ負けてくれれば俺は大勝ちできる… と、言っている」
「そんなことより、犬を返す約束はどうなったの？」
Aからすればスチェンカだの賭けの、正直どうだっていい。
あの男臭い試合会場にまた足を運ぶのも億劫であった。
うんざりした顔つきで拳銃を店主の眼前に突きつけるも、店主はいまだヘラヘラとした態度を崩さない。
「八百長が終わったら返す、だそうだ」
「図に乗るなッ」
Aは突きつけた拳銃を振り上げ、グリップの底で思い切り店主の横面を殴り飛ばした。
強面の軍人たちの中で一番油断していたであろうAの攻撃に、飄々としていた店主も思わず「Aaaaaa！！」と悲鳴を上げる。
「交渉の相手を間違えたな？この女をお前は賭けの景品にしようとしたんだぜ」
「フン、杉元の言う通りだ 月島、この後の私たちの予定をコイツに伝えろ」
杉元が床から店主を無理矢理持ち上げ、元の椅子に再び座らせる。
その前に立つ鯉登は高圧的に男を見下ろしながら淡々と言った。
「まず犬を返すまでお前の指を一本ずつ切り落とす それが終わったらお前を裏庭に埋めて、我々はスチェンカの会場へ行き刺青の男を確認する お前の言っていたことが正しければ、男は森へ連行し射殺して皮を剥ぐ」
「Да, я могу рассказать про человека с фотографии…！！」
「まずは人差し指からだ」
「待ってください キロランケたちについての情報がまだある、と」
「この場を逃れたい一心ででまかせを言ってるに決まってる」
「たしかに、その可能性は高そうですが」
月島も鯉登の言うことに一理あると踏んだのだろう、咄嗟に待ったをかけていた手を下ろした。
鯉登は険しい表情のまま帯刀していたサーベルをスラリと引き抜き、しかしそれを見ていたAと杉元はほとんど同時に店主を庇うように合間に入った。
何のつもりだ、と眉を顰めて二人を見る鯉登。
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ぽなふ(プロフ) - まるまさん» 嬉しいです〜完結まで頑張りたいです！ (11月4日 12時) (
レス) id: 501bdc7901 (このIDを非表示/違反報告)
ぽなふ(プロフ) - kuuualohaさん» ありがとうございます！またテンポ良く上げられたらと思います (11月4日 12時) (レス) @page12 id: 501bdc7901 (このIDを非表示/違反報告)
まるま - 何時も楽しく読ませてもらってます！これからも応援してます!!✨ (11月3日 22時) (レス) @page42 id: 176e021716 (このIDを非表示/違反報告)
kuuualoha(プロフ) - 更新待ってます(泣)！ (11月3日 7時) (レス) @page42 id: 8717a25739 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽなふ | 作成日時：2023年10月2日 8時
