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「香坂、ここにいたか！」
呼ばれた方を振り向くと、ニヴフ族の衣服を羽織った鯉登音之進が何やら片手にこちらへ近づいてきた所であった。
香坂Aはまだ微かに硝煙が燻る銃を下ろし、「どうしました？」と返事をする。
「ニヴフの伝統料理で、モスと言うらしい！」
「モス？」
「うふふ、私の父上を思い出すだろう」
ニコニコとだいぶ機嫌が良さそうなのは、モスから父親を連想したからか。
随分と無邪気な一面もあるものだ。
Aもクスリと微笑んで、ありがたくそのモスとやらを受け取る。
「あら、寒天みたいで美味しい」
「そうだろう？お前も甘いものが好きだから口に合うと思ってな、私が直々に届けに来てやったんだ」
「どうもありがとうございます」
鯉登の持ってきたおやつをいくつか奪ったためか、どうやら甘いもの好きだと思われているようだ。
まああまり口にする機会が無いという点では、Aにとって甘味の価値は高い。
鯉登は何気なくAの背後に視線を向けると、少し驚いたように目を開いた。
「それは何だ？…フクロウ？」
Aの足下に転がっている灰色の大きな鳥。
まあ別に隠すことでもないか、とAは小銃を肩にかけると、空いた手でよっこらせと獲物を持ち上げた。
「狩りでもしていたのか？」
「まあ、そんなところです シマフクロウ、アイヌ語では��コタンコロカムイ��と言うらしいですよ 前に一度北海道で見かけたんですが、樺太にも生息しているとは」
必死に逃げようともがいたのか翼を大きく広げたその姿はAを優に超える大きさで、フクロウとはいえあまりの迫力に鯉登はしばらくの間目を奪われていた。
「食べられるのか？」
「コタンコロカムイはその名の通りコタンを守護する存在で、わざわざ殺して食べたりはしないそうです アシリパから前に聞いた話だと、たしか��目を傷つけると失明してしまう��だとかなんとか… 迷信も甚だしいですが」
ニコリと微笑んだAに、しかし鯉登はさらなる疑問を飲み込んだ。
清々しいような表情を浮かべるAが持ち上げるフクロウの片目が、見事に一発で撃ち抜かれていたからである。
��このカムイを怒らせると目から光を奪われる��
かつて聞いたアシリパの声がAの頭に木霊した。
これはカムイへの挑戦だ。
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ぽなふ(プロフ) - まるまさん» 嬉しいです〜完結まで頑張りたいです！ (11月4日 12時) (
レス) id: 501bdc7901 (このIDを非表示/違反報告)
ぽなふ(プロフ) - kuuualohaさん» ありがとうございます！またテンポ良く上げられたらと思います (11月4日 12時) (レス) @page12 id: 501bdc7901 (このIDを非表示/違反報告)
まるま - 何時も楽しく読ませてもらってます！これからも応援してます!!✨ (11月3日 22時) (レス) @page42 id: 176e021716 (このIDを非表示/違反報告)
kuuualoha(プロフ) - 更新待ってます(泣)！ (11月3日 7時) (レス) @page42 id: 8717a25739 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽなふ | 作成日時：2023年10月2日 8時
