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一行は無事に流氷の上から亜港へ戻り、周辺にあるニヴフ民族の村に居候をさせてもらっていた。
突然の風変わりな来客に驚いていた様子ではあったが、重傷者たちの姿を見るなり親切に受け入れてくれたのだ。
杉元とアシリパが村人たちと交流している間、ニヴフの冬の家であるトラフの中で、怪我をした尾形、月島、鯉登、谷垣は療養をしていた。
Aはあれっきり一度も目を覚さない尾形のそばに寄り添い続けている。
一度だけ、両目を止血する代わりに巻いていた包帯代わりの布を取り替えてやった。
そのときにチラリと見えた右目があったはずの部分は赤黒く変色しており、瞼は閉じられているもののその痛々しさは想像を絶するものだろう。
「どうして尾形がキロランケと手を組んだのか…、香坂は何も聞いていないのか？この男が少数民族の独立に共感するとは思えない」
重苦しい空気の中、谷垣が言葉を発した。
続けて鯉登も「本当に金塊が欲しいだけなんだろうか」と疑問を呈する。
「…尾形さんにだって野心はある 目的なんて、金塊を狙う他の奴らと大差ありません」
「そうであって欲しいものだな」
薄々勘付いてはいた。
樺太で苦楽を共にした先遣隊ではあるが、おそらく今は皆から腫れ物扱いをされている。
彼らにとって自分は、敵である尾形に異常に肩入れする信用の置けない人間なのだ。
杉元も谷垣も心優しいから、いまだにそういう風なことを口に出してくる気配はない。
しかし月島や鯉登はどうだろう。
帰ったら鶴見中尉に全てを報告されて、それで樺太での役目を終えた自分は一生鶴見の監視の下で飼い殺しか？
そっと寝台に横たわる尾形の方を見る。
口は薄く開き、小さいが苦しそうな息遣いが聞こえる。
両目は包帯で覆われており、顔には常に脂汗が浮かんでいる。
この男がここまで弱った姿は見たことがなかった。
宇佐美に痛めつけられても眉一つ動かさなかったこの男が。
一体どんな夢を見ているんだろう。
何を考えているんだろう。
そんなことを思いながら、乱れている髪の毛をいつも彼がやっていたように撫で付けてやった。
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ぽなふ(プロフ) - まるまさん» 嬉しいです〜完結まで頑張りたいです！ (11月4日 12時) (
レス) id: 501bdc7901 (このIDを非表示/違反報告)
ぽなふ(プロフ) - kuuualohaさん» ありがとうございます！またテンポ良く上げられたらと思います (11月4日 12時) (レス) @page12 id: 501bdc7901 (このIDを非表示/違反報告)
まるま - 何時も楽しく読ませてもらってます！これからも応援してます!!✨ (11月3日 22時) (レス) @page42 id: 176e021716 (このIDを非表示/違反報告)
kuuualoha(プロフ) - 更新待ってます(泣)！ (11月3日 7時) (レス) @page42 id: 8717a25739 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽなふ | 作成日時：2023年10月2日 8時
