百九十七 ページ47
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Aらが駆けつけたときには既に決着が着いた後であった。
鯉登がキロランケの手榴弾を斬り捨て、銃を構えた谷垣と月島が虫の息のキロランケを囲んでいる。
「待って！撃つな！聞かなきゃいけないことがある」
聞くと言っても、キロランケは腹部にも肩口にも傷を負っており既に瀕死状態である。
それでも谷垣らは銃口を少しだけ下に向けた。
アシリパがキロランケの口元に耳を寄せ、何やら会話を交わしている。
聞き耳を立てる気も、そもそも内容への興味も、既にAは失っていた。
ただ浅い呼吸で、杉元の背中で力無く垂れている尾形の手足を見つめることしか出来ないでいた。
程なくしてキロランケは息を引き取った。
大らかで、色香があって、アイヌの文化を愛した男であった。
キロランケと過ごした時間は短かったが、それでもAはこの男が根っからの悪人であるとは思えなかった。
大いなる大義と志を追い求めた末の結末だ。
この金塊を巡る複雑な戦禍では、皆がこの男のように大義を持っている。
…そう、自分と尾形を除いて。
「アレは尾形だな？何があったかは知らんが、気をしっかり持て香坂」
「…鯉登少尉殿」
肩に力強く置かれた褐色の手は、鯉登のものだった。
所々血塗れで顔も酷く殴打された形跡があったが、その表情は任務をやり遂げたことを誇っているような凛としたものであった。
「応急処置が為されているということは、ひとまずは杉元はヤツを殺さないと決めたのだろう 私たちの第一優先もアシリパだ、今はヤツに構っている暇などない」
「お気遣い、感謝します… ですがあの怪我では正直どこまで連れて行けるか…」
「月島も重傷を負った どちらにせよ、北海道に帰るまでにどこかしらで休息を取らねばな」
鯉登の言葉に月島を探すと、地面に膝をつき、銃身を杖代わりにどうにか身体を支えている状態であった。
負傷したのは首元だろうか。
今回の樺太への遠征は失うものが多かった。
キロランケは死に、尾形は目を射抜かれて瀕死、月島は首元からの負傷により動けない。
そして…、何よりアシリパはその小さな手に大きな罪の意識を背負ってしまったであろう。
「北海道に… 帰りましょう、尾形さん」
ダランと垂れた身体はピクリとも動かなかった。
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ぽなふ(プロフ) - まるまさん» 嬉しいです〜完結まで頑張りたいです！ (11月4日 12時) (
レス) id: 501bdc7901 (このIDを非表示/違反報告)
ぽなふ(プロフ) - kuuualohaさん» ありがとうございます！またテンポ良く上げられたらと思います (11月4日 12時) (レス) @page12 id: 501bdc7901 (このIDを非表示/違反報告)
まるま - 何時も楽しく読ませてもらってます！これからも応援してます!!✨ (11月3日 22時) (レス) @page42 id: 176e021716 (このIDを非表示/違反報告)
kuuualoha(プロフ) - 更新待ってます(泣)！ (11月3日 7時) (レス) @page42 id: 8717a25739 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽなふ | 作成日時：2023年10月2日 8時
