百九十五 ページ45
「尾形ぁッ！！！」
杉元の怒声、思わず放たれたアシリパの毒矢、直線的に突き刺さった先は尾形の右目。
それらの出来事はスローモーションのように流れた。
目を見開いたまま崩れ落ちていく尾形の唇の端が、ニヤリと歪に持ち上がった気がした。
Aは衝撃に漏れ出る悲鳴を手のひらで押し殺し、つんのめるように流氷の上に倒れ伏した尾形に駆け寄った。
「ぁぁぁあ…ッ！おがッ…、おがたさ…！どく、毒が回って、このままじゃ…、杉元ッ」
やっと追いついたと思ったのに。
ようやく写真ではない、本物の尾形百之助に会えたというのに。
尾形の身体の上に覆い被さって取り乱すAにはべっとりと血液が付着していた。
助けを求めるように杉元に呼びかけると、杉元は無言で近づき、そして小刀を振り下ろした。
悲鳴を上げるAを他所に、目玉ごと尾形に刺さった毒矢をくり抜く。
痛みのあまりもはや意識は朦朧としているであろう尾形が、ピクピクと身体を痙攣させる。
杉元は右目に口を寄せ、毒を吸い出した。
「この流れでは死なせねぇぞ あの子を人殺しにはさせねぇ お前の死にこれっぽっちも関わらせるもんかよ！」
杉元の言葉にふと視線を上げると、アシリパが放心したようにへたり込んでいた。
わざとじゃない、アシリパには殺す気など無かった。
Aはグッと拳を握ると、「どいて、私がやる！」と杉元を押し除けた。
杉元は大人しく譲ってくれた。
今はアシリパの近くにいてやれば良い。
この男がこんな所で死ぬはずがないのだ、そう言い聞かせてAは杉元がしていたように右目から溢れる血ををひたすら吸引し、ペッと吐き出す作業を続けた。
血の色がまともになってきた頃合いで、外套の裾を破いて強く尾形の右目に巻きつける。
止血はなんとか完了したものの、尾形の顔色は真っ青であった。
涙が溢れてくるのを止めることができないまま、脱いだ外套ごと尾形に巻きつけ、極寒の中身体を擦り続ける。
死んだらどうしよう。
一言も交わせないまま終わりだなんて、そんなことになったら…。
「A…」
「…アシリパ」
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ぽなふ(プロフ) - まるまさん» 嬉しいです〜完結まで頑張りたいです！ (11月4日 12時) (
レス) id: 501bdc7901 (このIDを非表示/違反報告)
ぽなふ(プロフ) - kuuualohaさん» ありがとうございます！またテンポ良く上げられたらと思います (11月4日 12時) (レス) @page12 id: 501bdc7901 (このIDを非表示/違反報告)
まるま - 何時も楽しく読ませてもらってます！これからも応援してます!!✨ (11月3日 22時) (レス) @page42 id: 176e021716 (このIDを非表示/違反報告)
kuuualoha(プロフ) - 更新待ってます(泣)！ (11月3日 7時) (レス) @page42 id: 8717a25739 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽなふ | 作成日時：2023年10月2日 8時
