百五十五 ページ5
「え、私？」
関係ないとたかを括っていたところ、突然の名指しに顔が引き攣るA。
ロシア人店主の薄笑いを見る限り、自分を賭けの景品にして下卑た真似をしようとでも目論んでいるようではあるが、しかしその前によく見てほしい。
それを見下ろす屈強な大日本帝国軍人たちの、ピクピクと浮き出ている青筋を。
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「いけぇーッ！負けんなッ！ぶっ殺せッ！！」
周りの歓声に負けず劣らずの大声で声援を飛ばすAを、男たちはいやらしい期待のこもった目で見ていた。
上半身の服を脱ぎ捨てて臨戦体制で中央にズラリと並んでいるのは谷垣、杉元、鯉登、月島の4名。
そして賭けられているのは多額の金と、そしてなんと日本からやって来た大和撫子(？)、香坂Aであった。
あの後ブチギレた四人はなぜかAをそのまま景品として賭けに出し、怒り心頭状態のまま参戦を決めたのであった。
いやせめて景品扱いは辞退させてほしかった。
四人が負けるとは思わないが、いやしかし、万が一のことがあっては困る。
Aは隣から尻に向かって伸びてきた無法者の腕を掴んで捻り上げながら、祈るように四人の勝利を願った。
「Бей！！」
開始の号令がかかるなり、早々に鯉登が目の前の筋骨隆々のロシア人の顎に鋭い一撃を入れて昏倒させた。
薩摩の貴公子、最速での勝利を手にする。
隣ではさも当たり前のように杉元が完全試合を制し、谷垣が一撃もらうも全く動ぜずに相手を地面に殴り倒していた。
これであれば心配無さそうだ、とほっと一息つくA。
ふと月島を見やると、ロシア人の繰り出した拳を身を丸めて避け、ちょうど鳩尾に一発拳を捩じ込んで相手を再起不能に追い込んだところであった。
試合開始前に何やら月島を揶揄して笑っていた相手だ、鬼の月島軍曹が無傷で返すはずがない。
「うぉおおおッ！！強いぞ！？」
「日本の兵隊さん強い！！」
喜ぶ日本人とは裏腹に恨めしげな表情を送ってくるロシア人集団を振り返り、Aは勝ち誇ったような笑みと共に腰の自動拳銃に手をやった。
スチェンカの暑苦しい会場内では羽織と外套を脱いでいたため、軍服を着ているのが丸分かりなのである。
帝国軍人を恐れたのか賭けに負けたことを忠実に守っているからなのか、Aはそれ以降ちょっかいをかけられることはなかった。
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ぽなふ(プロフ) - まるまさん» 嬉しいです〜完結まで頑張りたいです！ (11月4日 12時) (
レス) id: 501bdc7901 (このIDを非表示/違反報告)
ぽなふ(プロフ) - kuuualohaさん» ありがとうございます！またテンポ良く上げられたらと思います (11月4日 12時) (レス) @page12 id: 501bdc7901 (このIDを非表示/違反報告)
まるま - 何時も楽しく読ませてもらってます！これからも応援してます!!✨ (11月3日 22時) (レス) @page42 id: 176e021716 (このIDを非表示/違反報告)
kuuualoha(プロフ) - 更新待ってます(泣)！ (11月3日 7時) (レス) @page42 id: 8717a25739 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽなふ | 作成日時：2023年10月2日 8時
