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右を見ても左を見ても、Aが今から人殺しをするのを今か今かと待ち構えているギラギラした顔の男たちに囲まれている。
今ここで怖気づけば、この男たちは自分に失望し、まるっきり興味を失ってしまうだろう。
鶴見に拾われてから数年、懸命に築いてきた脆い地盤がガラガラと崩れてしまう。
＿＿＿＿また居場所を失ってしまう。
気づくとAは銃剣の柄を両手で強く握り締め、呼吸を止めて目の前の男の心臓に力を込めて突き刺していた。
肉を貫く生々しい感触、男のくぐもった悲鳴、ジタバタと足掻く身体がいつしか力を失って、最終的にはだらんと地面に投げ出される様子…。
Aは目を逸らすこともできず、それらをジッと見ていた。
胃のムカムカがさらに増していく。
吐いてしまいそうだ。
初めて銃で人を撃ったときとは全く違う不快感に、Aは数歩後退った。
「よくやった… 実に素晴らしい、やっぱり私には見る目があったようだ」
後退ったところをトンと背中に何かが触れ、そして強く抱きしめられた。
背中と、そして次には頭をヨシヨシと包み込むように撫でられる。
この人はいつもそうだ。
酷く残酷なくせして、こちらの求めているものを意図も容易く与えてくる。
異常な感情の昂りから溢れてくる生理的な涙を見て、鶴見は後ろからAの頬を掴むと振り向かせ、覆い被さるようにそのまま自身の舌をベロリと出してそれを舐め取った。
狂気に目を細め、頭からは脳汁を垂らしたその姿は、旅順での奉天会戦に参戦する前の鶴見とは似ても似つかなかった。
戦争というものは、こうも人を変えてしまうのか。
「ぁ…、はは、うえ…ッ」
「ん？どうしたんだ？よく聞こえないぞォ」
「母上、が… 人を殺してはなりません、と…」
母親と父親の口癖であった。
��人を裁くのは同じ人であってはならない、神なのだ��と。
「…ああ、そういえばお前の両親は腐っても宗教家だったな」
鶴見は合点がいったように頷く。
「そんな教えを説いていた父君と母君は多くの信者たちを騙し、食い潰し、間接的とはいえ命を奪っていたんだぞ？そしてそれを打ち止めたのは、
「ぅぅ…ッ」
「悲しむことはない Aちゃん、君は我々の同胞だ 大義のためなら心を鬼にすることができる、私の信頼する部下の一人だ」
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ぽなふ(プロフ) - まるまさん» 嬉しいです〜完結まで頑張りたいです！ (11月4日 12時) (
レス) id: 501bdc7901 (このIDを非表示/違反報告)
ぽなふ(プロフ) - kuuualohaさん» ありがとうございます！またテンポ良く上げられたらと思います (11月4日 12時) (レス) @page12 id: 501bdc7901 (このIDを非表示/違反報告)
まるま - 何時も楽しく読ませてもらってます！これからも応援してます!!✨ (11月3日 22時) (レス) @page42 id: 176e021716 (このIDを非表示/違反報告)
kuuualoha(プロフ) - 更新待ってます(泣)！ (11月3日 7時) (レス) @page42 id: 8717a25739 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽなふ | 作成日時：2023年10月2日 8時
