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「今日お前を呼び出したのはな、本当の意味で我々の仲間入りをする簡単な儀式を行うためだ」
��仲間入りのための簡単な儀式��、目の前で縛られて芋虫のように転がされている男、これらの状況から嫌な予感はさらに強まった。
その予感を肯定するように、Aに差し出されたのは無機質に鈍く光る銃剣。
「この男は近頃の我々の動きを怪しんだ中央から送られてきたスパイだった 今回月島軍曹が見事炙り出してくれてな、今しがた尾形上等兵たちが全ての情報を吐かせたところだ」
「中央の、スパイ…」
「わかるな？この男にもう生かしておく価値は無い」
気がつくと右手には鶴見に握らされた銃剣が収まっており、Aは恐怖に染まった男の顔を見下ろしていた。
陸軍の軍衣に身を包んだその男は今日まで兵士として27聯隊に潜り込んでいたのだろう。
どんな情報を吐こうが、この死神の手からは生きて逃れることなど不可能だというのに。
二階堂兄弟は「可哀想に… プルプル震えてるぜ、洋平」「本当だな浩平、あんな細腕で殺れるかなァ」などとクスクス意地悪く笑い、そしてAに場所を譲るかのように男から離れた。
「さあ、立派な兵士としての最初の仕事だ！正直なことを言うとな、私はAちゃんには才能があると踏んでいる」
才能って、何の？
喉まで出かかった言葉はしかし飲み込み、右手の震えを抑え込むように左手で手首を掴む。
初めて人を殺したのは故郷を日本軍に燃やされたとき。
倒れていた兵士の側にあった銃で、訳もわからず近くにいた鶴見の部下を一人撃った。
��父と母を殺された��という事実に激昂していたのか、はたまたただ錯乱していただけなのか、そのときの記憶は曖昧だった。
ただ引き金を引いた感触と、目の前の人間が力無く地面に倒れた光景だけを覚えている。
「変に初心者が動脈を狙おうとするな 心臓を一突きするだけでいい」
ぞくりと背筋が粟立つような尾形の声が耳元で囁かれる。
左肩には宇佐美、右肩には尾形の手が乗せられ、有無を言わさずに前へ前へと押し出される。
気味の悪い空気に胃がムカムカする。
言い表しようのない恐ろしさに足が竦む。
自分には無理だ、と鶴見に言おう。
大丈夫、必要に迫られればやれる。
そしてそれはきっと今じゃない。
そう思って後ろを振り返る。
「ッ！」
爬虫類のように鋭く獰猛な鶴見の目が、Aを捉えて離さなかった。
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ぽなふ(プロフ) - まるまさん» 嬉しいです〜完結まで頑張りたいです！ (11月4日 12時) (
レス) id: 501bdc7901 (このIDを非表示/違反報告)
ぽなふ(プロフ) - kuuualohaさん» ありがとうございます！またテンポ良く上げられたらと思います (11月4日 12時) (レス) @page12 id: 501bdc7901 (このIDを非表示/違反報告)
まるま - 何時も楽しく読ませてもらってます！これからも応援してます!!✨ (11月3日 22時) (レス) @page42 id: 176e021716 (このIDを非表示/違反報告)
kuuualoha(プロフ) - 更新待ってます(泣)！ (11月3日 7時) (レス) @page42 id: 8717a25739 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽなふ | 作成日時：2023年10月2日 8時
