百八十五 ページ35
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「オイ香坂一等卒、鶴見中尉殿がお呼びだぞ」
香坂Aが第七師団での促成課程を終え、一人前の兵士として認められてすぐのことであった。
毎朝恒例の点呼を終え、演習に使う三十年式歩兵銃の手入れを行っていたAは、何事かと顔を上げて宇佐美上等兵を見上げる。
普段から鶴見はよくAを自身の執務室に呼び出しており(そのせいでよく��鶴見中尉の愛玩犬��などと揶揄されたりもしていたのだが)、それを伝えにくる宇佐美はいつも大層腹立たしげであった。
ところが今回に限っては何やらニタニタと機嫌が良さそうな笑みすら浮かべており、Aにとっては恐怖でしかなかった。
「いつもの執務室でありますか？」
「いいや？ついて来い、面白いもの見せてやるよ」
グイと肩に回された腕も、逃がさないよう捕まえられているようでなんだか居心地が悪い。
Aは嫌な予感を覚えながらも、大人しく宇佐美に連れられるがまま歩く。
この男、どのタイミングで怒りのスイッチが入るかわからないため危険なのだ。
「おお、Aちゃん！待ってたぞ」
連れてこられたのは裏庭のさらに隅の、兵舎の陰で薄暗く誰も立ち寄らない場所。
何よりもこの場所をさらに陰湿なものにしているのが、Aの目の前で繰り広げられている凄惨な光景であった。
気が狂ったようにモゴモゴと何かを口走っている一人の兵士の口に乱暴に木材を突っ込み、恐らくとてつもないであろう悲鳴を塞いだ尾形。
両サイドからその兵士の爪をペンチで一枚ずつ剥がしている二階堂兄弟。
それらの前でニコリと紳士的に微笑んでいるのは、脳の欠けた恐ろしい形相の我らが上司、鶴見中尉に他ならなかった。
痛々しい男の惨状に、Aは思わず一歩後退った。
「本日付けから正式にAちゃんは
鶴見はそう言うとまるで愛おしいものを慈しむかのような視線をAに向け、その頬を軽く指で撫ぜた。
隣からは宇佐美のギリッという歯軋りの音が聞こえ、Aは冷や汗が背中に伝うのがわかる。
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ぽなふ(プロフ) - まるまさん» 嬉しいです〜完結まで頑張りたいです！ (11月4日 12時) (
レス) id: 501bdc7901 (このIDを非表示/違反報告)
ぽなふ(プロフ) - kuuualohaさん» ありがとうございます！またテンポ良く上げられたらと思います (11月4日 12時) (レス) @page12 id: 501bdc7901 (このIDを非表示/違反報告)
まるま - 何時も楽しく読ませてもらってます！これからも応援してます!!✨ (11月3日 22時) (レス) @page42 id: 176e021716 (このIDを非表示/違反報告)
kuuualoha(プロフ) - 更新待ってます(泣)！ (11月3日 7時) (レス) @page42 id: 8717a25739 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽなふ | 作成日時：2023年10月2日 8時
