百七十五 ページ25
「キャア〜ッ！！」
と練習場の向こうの方から黄色い叫び声が聞こえてきたので休憩がてら馬に跨ったままそちらへ向かうと、そこには女たちの人集りができていた。
全員曲馬団関係者であろうが、その中心にいたのは��一本竹上乗芸��を華麗に決めた鯉登少尉であった。
Aの姿に気づくと、ニヤリと笑みを浮かべる。
「お、良いところに来たな香坂ァ！」
「はあ、少尉殿もずいぶん楽しそうで」
「妬くな妬くな！お前にも見せてやる」
そう言って鯉登は器用に片目を瞑ってみせると、手を唇に添えてチュッとAに向けて広げた。
「………？」
「ぐッ、長吉ィ！話が違うではないか！！」
「香坂さんに投げ接吻はあんまり馴染みがなかったですかね」
なるほど、鯉登が今しがたやってみせたのは��投げ接吻��という芸の一つらしい。
キャアキャアと女たちが騒いでいたのはこれが原因か。
西洋文化に疎い田舎者だと馬鹿にされたようでなんとなく悔しかったAは、馬の上からちょいちょいと鯉登に向かって手を振った。
「む、なんだ？」
「チュッ」
先ほどやられたように、手を口元に添えてリップ音と共に鯉登に向かって接吻を投げる。
「キエエエエエェッ！！？」
本日初、鯉登は奇声を上げながら一本竹の上から足を滑らせ落下した。
猿も木から落ちる。
ならぬ、薩摩隼人も竹から落ちる。
ドスンッ！！という痛々しい音を聞きながらAは満足げに馬の踵を返し、次は杉元の練習を見学しにいった。
「イダダダダダ！！」
「ちょっと痛がる声が過剰ですかね〜」
「こういうのはゆっくり切り裂くほど痛ェんだよ」
「そんなリアルなこだわりはいいですから！」
ハラキリショーもどうやら流石に本物の刀で腹を切り裂くのではなく、血糊が仕掛けられている模造品の刀を使って切腹しているかのように見せかけるイリュージョンのようだ。
杉元は座長から念入りに演技指導を施されていた。
「イダダダダダッ！！」
「痛いって言うのもうやめて！」
こうして何日間か地獄の特訓が続き、なかなか上達しない乗馬弓射にうんざりしたAはある妙案を思いついたのであった。
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ぽなふ(プロフ) - まるまさん» 嬉しいです〜完結まで頑張りたいです！ (11月4日 12時) (
レス) id: 501bdc7901 (このIDを非表示/違反報告)
ぽなふ(プロフ) - kuuualohaさん» ありがとうございます！またテンポ良く上げられたらと思います (11月4日 12時) (レス) @page12 id: 501bdc7901 (このIDを非表示/違反報告)
まるま - 何時も楽しく読ませてもらってます！これからも応援してます!!✨ (11月3日 22時) (レス) @page42 id: 176e021716 (このIDを非表示/違反報告)
kuuualoha(プロフ) - 更新待ってます(泣)！ (11月3日 7時) (レス) @page42 id: 8717a25739 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽなふ | 作成日時：2023年10月2日 8時
