百七十二 ページ22
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「待てコラァ！！」
時は変わって豊原の町では、杉元が大声をあげて市中を猛ダッシュしていた。
そのすぐ後ろには月島、鯉登、Aも猛追している。
四人が周りからの視線すらも気にせず躍起になって追いかけているのは、ホック帽を被った若い青年。
「あの背嚢に岩息の入れ墨の写しが入ってるのか！？」
「そうだよォ！誰かあの置引きを捕まえてくれッ！！」
また何やらかしてくれてんだ杉元！と悪態の一つでもつきたいところではあるが、まずはあのすばしっこい盗人を捕まえるのが先決だ。
と思っていた矢先、青年はヒョイとありえない身軽さで商店の屋根へ駆け上っていった。
訂正しよう、すばっしっこいどころではない、もはや野生の猿だ。
姿を見失わないよう二手に分かれて追走を続けるも、Aのふくらはぎはすでに悲鳴を上げていた。
同じルートから追っていた月島軍曹も前の方で徐々に速度が落ちていくのが見える。
化け物か、あのホック帽の青年は。
月島と共に青年が逃げていったらしき道を辿るも、途中で分かれたはずの杉元とバッタリ遭遇してしまう。
どうやら見失ってしまったようだ。
パァン！パァン！
すると遠くはない場所から銃声が鳴り響き、Aらは顔を見合わせると音の聴こえた方角へと駆け出した。
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「申し訳ございません！！まさか兵隊様から荷物を盗むとは…ッ！！」
ホック帽の盗人が逃げ込んだのは何やら準備中の見せ物小屋のような場所であった。
広場を借りて公演でもするつもりなのだろうか。
拳銃を鳴らしたのは若干息の上がった鯉登少尉で、彼は目の前で土下座をする座長の男と盗人の青年を険しい表情で見下ろしていた。
あの猿のように逃げ足の速い盗人を追い詰めたというのだから、彼の健脚ぶりはやはり侮れない。
「土下座なんていいよ、大事にする気はない」
許しを得た男は、曲馬団『ヤマダ一味』の座長を名乗った。
やはり豊原でこれから公演をするらしく、先ほどの若い盗人は軽業師の長吉というらしい。
ずいぶんと手癖の悪い軽業師だ。
「…これだッ！」
「何が？」
杉元の突如閃いたかのような言い方に嫌な予感がして、それを表情に隠しもせずAは一応尋ねる。
「俺を樺太公演に出せ！」
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ぽなふ(プロフ) - まるまさん» 嬉しいです〜完結まで頑張りたいです！ (11月4日 12時) (
レス) id: 501bdc7901 (このIDを非表示/違反報告)
ぽなふ(プロフ) - kuuualohaさん» ありがとうございます！またテンポ良く上げられたらと思います (11月4日 12時) (レス) @page12 id: 501bdc7901 (このIDを非表示/違反報告)
まるま - 何時も楽しく読ませてもらってます！これからも応援してます!!✨ (11月3日 22時) (レス) @page42 id: 176e021716 (このIDを非表示/違反報告)
kuuualoha(プロフ) - 更新待ってます(泣)！ (11月3日 7時) (レス) @page42 id: 8717a25739 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽなふ | 作成日時：2023年10月2日 8時
