百七十 ページ20
「オイ、アンタAに何してる？」
パシンとAの肩に乗せていた手を叩き落としたのは、鋭い目つきをした杉元であった。
後ろの方で何やら剣呑な雰囲気になっている二人の様子を、少し前から窺っていたのだ。
「我々の問題だ、お前には関係ない」
「関係ないだァ？Aはもう第七師団の兵士じゃないんだ、お前の方が関係ないだろ」
「なんだと…？」
ピクリと月島の握り拳が反応した。
なんだか雲行きの怪しそうな展開に、Aは息を潜める他ない。
「香坂Aは依然鶴見中尉の監視下、つまり今は俺の直属だ この女がもしまた変な気を起こしたときは、俺の判断で処罰して良いことになっている …当然お前の処遇もだぞ、杉元
杉元を睨み返すその眼光の鋭さに、流石の杉元もヒヤリとした殺気を感じ取った。
寡黙で目立たない軍人だと思っていたが、よく考えればあの狂人の集まる第七師団で鶴見中尉の右腕を担う軍曹である。
もちろん一筋縄ではいかない。
「そんなことアンタに言われなくたって…」
「いや、お前はわかってない 現に香坂はお前に殴られた腕がまだ回復していない」
「はッ？」
「ちょっと、月島軍曹 私は別に…」
「お前もだ、香坂 杉元と馴れ合うのもいいが、お前の長所はその狙撃の腕だろう そのままではいずれ俺たちの足を引っ張りかねない よく考えて行動しろ」
��よく考えて行動しろ��
これは聯隊に所属する前から口を酸っぱくして月島が言っていたセリフだった。
この場にそぐわない懐かしさに一瞬思考を飛ばしていると、月島が去っていったのを見て杉元が慌てた様子でAに向き直った。
口をハクハクと動かし、暫くの間何を言うべきか迷っているようであった。
「軍曹が言ってたの、本当か？」
「うん、だけどまあ大したことない 軍曹は大袈裟だよ」
「見せてくれ」
Aの返事も待たず、杉元はグイと強引に腕を掴むと袖口を捲り上げた。
手首より少し上の前腕の部分が、打ち身によって青黒く変色していた。
杉元の目が愕然と身開かれる。
ああ、だから知られたくなかったのに。
「コレが…、大したことないだって？」
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ぽなふ(プロフ) - まるまさん» 嬉しいです〜完結まで頑張りたいです！ (11月4日 12時) (
レス) id: 501bdc7901 (このIDを非表示/違反報告)
ぽなふ(プロフ) - kuuualohaさん» ありがとうございます！またテンポ良く上げられたらと思います (11月4日 12時) (レス) @page12 id: 501bdc7901 (このIDを非表示/違反報告)
まるま - 何時も楽しく読ませてもらってます！これからも応援してます!!✨ (11月3日 22時) (レス) @page42 id: 176e021716 (このIDを非表示/違反報告)
kuuualoha(プロフ) - 更新待ってます(泣)！ (11月3日 7時) (レス) @page42 id: 8717a25739 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽなふ | 作成日時：2023年10月2日 8時
