百六十八 ページ18
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「決して親を愛すことだけが��普通��ではない」
もはや自身の身体を押さえつける力は完全に無くなっていたが、Aはすぐそばにいる男の魔力に囚われたように動けなくなった。
男の唇が耳に触れているのがわかる。
ちゅ、と何度かわざとらしい音を立てて耳に唇を降らせると、男は続けて言った。
「帰る場所もない、家族もいない、心を通わす友人もいない… そんな君が今、唯一頼れるのは誰だ？」
「…それ、は」
「なにも、愛すべきは親だけと定められているわけではない 行き場の無くなった君のその愛は、これから全て私に寄越しなさい」
「…ッ」
先ほど蹴りつけられた手を労るように優しく撫ぜ、男はAの頭を自身の胸にそっと寄せた。
包み込むように背中と後頭部を撫でられ、Aは、もはや訳もわからず涙を流していた。
「そうすればいつか君は、君が望んでいた��普通��になれる」
「私ッ…、人を殺したことだってある、私が…？」
「人殺しだって普通だ、我々の中ではな」
しばらく年相応の子どものように泣いていたAを、しかして男は何も咎めず、自身の肋骨服が涙で湿ってもただ鷹揚にして少女を抱き締め続けた。
その目に宿るのは父性か、それとも狡猾な野望か。
「さあ、君も我々についてくると良い どうせ地獄行きなんだ、君の特等席も用意しておこう」
そうしてニコリと微笑みかけてくる男は、まさしく死神のようであった。
その様子を見ていた月島は自身が地面に押さえつけていた哀れな少女を完全に解放した。
頭の可笑しい両親に囚われていた、可哀想な少女。
今度はもっと恐ろしい死神に囚われてしまうなんて。
そして自分も一人の幼気な少女の人生を狂わせることに加担している、という目を背けたくなる事実に嘆息を漏らした。
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「月島軍曹？」
岩息の刺青を写し終わり、彼がさらに北の方へと旅立っていくのを見届けると、先遣隊一行は次の目的地へ舵を切った。
珍しく考え事をしていて進度が遅れていた月島を案じてか、目の前では香坂Aがヒラヒラと手を振っている。
「置いていかれちゃいますよ」
「…ああ」
なぜ鶴見中尉を裏切った。
聞く資格は無いかもしれない、ということはわかっていても、目の前の女を見ると尋ねたくて仕方がなかった。
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ぽなふ(プロフ) - まるまさん» 嬉しいです〜完結まで頑張りたいです！ (11月4日 12時) (
レス) id: 501bdc7901 (このIDを非表示/違反報告)
ぽなふ(プロフ) - kuuualohaさん» ありがとうございます！またテンポ良く上げられたらと思います (11月4日 12時) (レス) @page12 id: 501bdc7901 (このIDを非表示/違反報告)
まるま - 何時も楽しく読ませてもらってます！これからも応援してます!!✨ (11月3日 22時) (レス) @page42 id: 176e021716 (このIDを非表示/違反報告)
kuuualoha(プロフ) - 更新待ってます(泣)！ (11月3日 7時) (レス) @page42 id: 8717a25739 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽなふ | 作成日時：2023年10月2日 8時
