百五十二 ページ2
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翌日、当初の予定通り先遣隊一行は村を発つことにした。
皆いい大人だ、昨晩のAのことについては特段誰も言及しなかった。
突然距離が近くなったような気がする鯉登を除いては。
エノノカと何やら商談を進めている鯉登を後ろの方から眺める。
昨晩の彼の『じゃっどん、男ん好みは悪か！』という言葉とともに握られた手の温かさが思い出される。
鶴見中尉もよく手を握り色気たっぷりに撫でてきたものだが、鯉登のそれは中尉のとは全く別物であった。
力強さも、苛烈なまでの純粋さも、そして浅黒い頬が少し紅潮していたところも。
「ハァ…」
「どうかしたか、香坂」
ため息を吐いたところをちょうど月島軍曹に見られた。
まさか鯉登少尉から好意を感じて気まずい、などと相談できるはずもなく、Aは無難に「慣れない土地と寒さで流石に疲れが出てきました」と話題を変えた。
「お前は北海道は長かっただろう」
「ここはそれ以上の寒さですよ」
「それはそうだな もし我慢できないようだったら俺の荷物から外套を取っていっても構わん」
「ありがとうございます」
厳格は軍人でもあるが、月島は元来気遣いのできるマメな性格だ。
軍に所属していたときはそのせいでよく殴られたし、また反対に助けられたこともある。
月島という人間の両面をAは身をもって知っていた。
この極寒の地を徒歩で移動したくない、と主張する鯉登のおかげで、一行はエノノカらに犬橇を借りて樺太を北上することとなった。
前を走るエノノカ橇には杉元、チカパシ、谷垣が乗っており、その後ろからはA、鯉登、月島が乗ったヘンケ橇が追従する。
アシリパらが立ち寄ったと思わしきロシア人村まで難なく辿り着くと、早速聴き込み調査を開始する。
「Hе приходил ли cюдa вoт зтoт человек？(この男が来ませんでしたか？)」
恐らく村で一番栄えているであろう酒場を訪れ、ロシア語に知見のある月島が代表して聞いて回る。
「Я не знаю(知らない)」
「Hикто не знает его？(誰か知っている人はいませんか？)」
「Что нужно японским солдатам от нашей деревни?(日本の兵隊が俺たちの村に何の用だ？)」
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ぽなふ(プロフ) - まるまさん» 嬉しいです〜完結まで頑張りたいです！ (11月4日 12時) (
レス) id: 501bdc7901 (このIDを非表示/違反報告)
ぽなふ(プロフ) - kuuualohaさん» ありがとうございます！またテンポ良く上げられたらと思います (11月4日 12時) (レス) @page12 id: 501bdc7901 (このIDを非表示/違反報告)
まるま - 何時も楽しく読ませてもらってます！これからも応援してます!!✨ (11月3日 22時) (レス) @page42 id: 176e021716 (このIDを非表示/違反報告)
kuuualoha(プロフ) - 更新待ってます(泣)！ (11月3日 7時) (レス) @page42 id: 8717a25739 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽなふ | 作成日時：2023年10月2日 8時
