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先手を切ったのはA。
相手はなす術なく、仕掛け技で華麗に小手を打った。
あまりの早技に、下級隊士たちは動きを目で追うことすら叶わなかった。
その後も次々と隊士が討たれ、時間をかけることもなくAの息が切れることもなく10人との試合が終了した。
見守っていた万事屋は大歓声を上げている。
『これで試験は終わりですか?』
「クソあの女、ナメやがって…」
イライラと青筋を立てながら、土方は畳に倒れている隊士を足蹴にする。
女にここまでボコされたとあっては、真選組のメンツが丸潰れだ。
「オイ総悟」
「ハハ、待ってやした」
足元にいる隊士から竹刀を一本取り上げると、土方は沖田に投げて寄越した。
ニヤリと悪い顔を浮かべる二人に、近藤は嫌な汗を流す。
「え?ちょっと待って、トシ、総悟 もう10人抜いたんだけど、お前らまさか…」
「近藤さん、あのレベルの女ならアンタが通ってるキャバクラにだっているぜ 本気でここに入りてぇって言うなら、俺たち幹部クラスとも同等にやり合えなくちゃな」
「まあ土方さんも俺も、本音はこれ以上あの女にのさばらせるわけにはいかねえってとこでさァ」
「やりすぎるなよ、総悟」
「へーい」
沖田は竹刀を持ったまま両腕を背面で伸ばし、凝り固まった筋肉を解す。
10人を倒した後突然立ちはだかった沖田に、Aは目を丸くしつつもグッと竹刀を持つ手に力を込めた。
「ちょ、約束が違うじゃないですか!」
「ヘイヘーイ、公僕はテメーの言ったことすら守れねーのか!?」
「そんなんズルアル!10人倒したら入隊じゃないアルか!?」
様子を見ていた万事屋たちからはヤジが飛ぶが、「うるせえ!外野は黙ってろ」という土方の一喝で流されてしまう。
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作者名:ぽなふ | 作成日時:2022年12月31日 13時