TWINS･TWINS

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side kawakami





「渡辺さん」





キャンパス内でたまたま渡辺さん(Aさんの方)を見つけて俺が声をかけると、
「あ、川上さ〜ん」なんて言いながら走り寄ってくる。

授業終わりなのか、手にはファイルだの教科書だのノートパソコンだのを抱えていて…渡辺さんが小柄なのも相まって重そうに見えた。





「持つよ」

『えっ、いやいやそれは悪いです…っ！』





堪らず腕から荷物を奪い取ると、案の定慌てだしたので適当に「はいはい」なんて言って流した。


俺が好きでやってるんだから、甘えてもいいんだけど。


せめて一番重いであろう教科書類は持たせてください！と懇願されたけど、わざと一番軽いプリントを数枚返してやった。





『思ってたのと違う…！』





ぶつぶつと言いつつも、「ありがとうございます」とちゃんとお礼を言うあたり、しっかりしてんなぁと思う。

思い返せば、いつもこうちゃんとふざけてじゃれあいつつも、礼儀や周りへの配慮はしっかりしてた。


そりゃあ自然と人も集まってくるわけだ。






「今日オフィス来る？」

『はい！川上さんも行きます？』

「うん、次の講義終わってから。一緒に行かん？」

『ぜひぜひ！』





渡辺さんは次の授業は無いらしく、図書館で待ち合わせすることにした。

荷物を返して、図書館の前で一時解散。



控えめにひらひらと手を振られて、俺もちょっとだけ振り返した。

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