【名探偵コナン】私はひとりじゃ生きられない。2nd【松田陣平】

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マドンナ編(前編)





『わっ…！』





あまりにも急いでいた




この前の教官の座学で遅れてしまい、｢次遅れたら朝の清掃を1人でこなしてもらうからな｣と釘を刺されていた





朝の清掃なんてやるだけでも眠たくて眠たくて堪らないのに、1人でやるなんてとんでもない





私は心の底から遅刻しないと誓った筈だった





今までで1番キレのいい返事をしたレベルだ





それなのに、私ときたら座学の時間を寝て過ごした挙句に次の移動に間に合わなくなる始末だ





ヒロくんが折角声を掛けてくれたのに、先行ってと促してしまった





廊下を爆速で走り、曲がり角を確認もせずに曲がったその時だった






ドンッと勢いよく何かにぶつかってしまった





衝突した衝撃で私は後ろに尻餅をつく





何か…否、私がぶつかった誰かも同じように後ろに倒れ込んでいた







｢いたた…｣




腰を擦りながらゆっくりと立ち上がったその人




その姿に一瞬思考が停止した頭はすぐに目覚めた





『ご……ごめんなさいっ！大丈夫ですか？！』





慌てて立ち上がり、怪我がないかの安否を確認する





｢あ、平気です。昔から体は丈夫なので｣




そう言いながら私に笑いかけたその子は、まるで天使のような容姿をしていた





まんまるのタレ目にかかる長くて緩くカールがかった睫毛




色素の薄い肌に薄桃色の頬がよく映えており、まるでフランス人形そのもの




茶色がかった髪は傷みを知らないかのようだ




比喩ではなく、本当に天使の微笑みを浮かべる彼女はどこからどう見ても美少女だった





うわぁ…と彼女の容姿の虜になっていると、天使は｢あれ？｣とこれまた可愛い声を上げる





そしてじっと私の目を見つめた



うわ、この子ホントに顔可愛いな。やめて顔をじっと見つめないで。これでも同じ人類だから





｢…もしかして、松田Aちゃん…？｣







目をキラキラとさせながらそう聞いてくる彼女に恐る恐る頷くと、｢やっぱり！｣と嬉しそうに手を叩いた





…は？こんな天使に名前覚えられてたのか？



天からのお迎え来てんじゃん






｢あ、ぶつかっちゃってごめんね！またね！｣





そう言って天使は小走りで行ってしまった




10対0の割合で私が悪いんだから天使が謝る必要なんてないのに






それにしても本当に可愛かったな…と、遅刻寸前である事を思い出して全力疾走する3秒前の私はめちゃくちゃ呑気なことを考えていた

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