私が人であるのなら (ページ24)

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すこし暗くなったとは言え、ダイアゴン横丁の人混みは健在である。様々な魔術師が行き来し、皆口々に何かを話している。その中を通り抜けて、彼女は目的地へと迷いなく進む。フードをかぶって、その上小柄な彼女の姿は人であふれかえるここでは空気のように薄い。しかしながら、彼女が今着いたところでは、その姿は異様な存在として扱われるのだ。暗さを増したせいでよけいに不気味に映る、ノクターン横丁では。

　昼間と同じ視線である。それもそのはずで、やはりここは子供が来ていい場所ではない。しかし、そんな視線を通り抜けてサシャは目的地を狭い道を通り抜けながら目指す。本当は昼間買うはずだった材料を、ネックレスを見つけて舞い上がって「諸々」施してからハリーにプレゼントして。そうして結局のところ本来の目的は果たせなかったのだ。
　と、いう訳で再び薬問屋に向かっているわけだ。
　少女は昼間とは違うルートを通りながら道を進む。まず、昼間行った薬問屋には行く気はないのだから当然で。驚愕を露わにした店主の顔を思い出した彼女は噂にでもされたらたまったものじゃないと、再び行くのはやめることにしたのだ。
　からんからんと音を出して、彼女は薬問屋の扉を開く。

「……これでよし」

　薬問屋から出て、その先で鞄を見てつぶやく。薬の材料はそろったのだから、後は作るだけだ。煮込んだりする必要のない薬はずっと旅をし続けていて鍋も持ち歩けない彼女からすれば、とても役に立った。ずっと使い続けている薬だ。
　彼女は歩き出して、歩きながら逡巡する。さて、帰るか帰らず別の場所で野宿でもするか。
　頭の中にあの顔がよぎった。だから彼女は帰ることにした。先ほどと同じように道をたどって、漏れ鍋まで行き、そこから迷いなく進んで地下鉄へ。やはりかなりの大荷物を一人で抱える彼女の姿は目立つ。そして彼女はパディントン駅で降りる。さて、帰ろう。彼女は電車を乗り換えて、そして電車の中ですこし眠った。起きたときにはもう降りるべき駅は目の前だった。

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