story91 ページ47
Aの立体機動訓練は、難航を極めた。
カイルの隙をつくには必要とはいえ、そもそもAは立体機動が苦手。そして、体力もない…というより、持続しない。その点は狼というよりチーターだった。
「こわい！」
「怖くてもやるんだ」
「いや！こわい！」
いつもの我が儘が発揮され、リヴァイはため息をついた。ワイヤーに吊られる感覚に慣れず、どうしても目を瞑ってしまうのだ。
「お前は森を飛び回っていただろうが。なんでワイヤーだと怖いんだ？」
「……お、なか、うく、不安、いや！」
「浮いてんだから当たり前だろ」
「ちがう！あー、ぅー、なくなる？」
「………抜ける、か」
言いたいことはわからなくもない。だが、それは是非とも克服してもらわなければならない。Aの身体能力なら、立体機動さえマスターしてしまえばリヴァイよりも強くなれる可能性がある。そして、カイルに対抗するためにはそれぐらいしか手段がない。
あの手この手を試すが、どうしても恐怖に勝てなくて目を瞑ってしまう。しかも、体力は持続しない。
一日目は、その作業だけで終わってしまった。
「ぅー…痛い……」
「……こっちは頭がいてぇよ」
夕食の時間にハンジたちが見かけたふたり。Aは動く度に唸り、リヴァイはこめかみを押さえていた。
「どう？調子は」
「聞かなくてもわかりそうだが」
二人の隣に座ったハンジとミケに、リヴァイは恨めしそうな視線を向ける。
「なら聞くんじゃねぇ」
「……いっぱい、痛い」
「まだ怖いか」
「怖い」
ミケは少し前までAの立体機動の先生だったから、今の二人の状況が手に取るようにわかるらしい。そんなミケに、リヴァイは小さな声で尋ねた。
「ミケ。お前、どーやってこの我が儘娘を飛ばしたんだ…？」
「……褒美で釣った。主に菓子だな」
「で？成果は？」
「持続しない。特に種類があるわけでもないからな。どうしても同じものに偏る。そうなると、飽きるのも早い」
「………はぁ」
ため息のとまらないリヴァイを、ミケはポンポンと叩いた。
(……まぁつまり、Aが飽きない褒美があれば、もう少し楽になる…と思うが)
(……………飽きねぇ褒美、か…)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 150人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「進撃の巨人」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
さと芋 - すっごく面白いですo(｀ω´ )oこれからも頑張ってください！ (2015年4月10日 1時) (
レス) id: 1ff7e22c1f (このIDを非表示/違反報告)
☆ユウ☆ - えっΣ（ﾟдﾟlll）使ってなかったんですか？なら大丈夫じゃないですか〜( ´ ▽ ` )ﾉ (2015年4月9日 21時) (レス) id: ef0a60f552 (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - ゆうさま>言われてきづきました。あまり古いネタ使ってなかった…！ (2015年4月9日 20時) (レス) id: 675366c207 (このIDを非表示/違反報告)
☆ユウ☆ - ありがとうございます！古いネタってどんなやつですか？ (2015年4月8日 23時) (レス) id: ef0a60f552 (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - ゆうさま>おきになさらず！同じ趣味をもつかたと話すときは、あまり年は気にしないので。ネタ…結構古いネタとか、つかってます。たぶん。（← (2015年4月8日 22時) (レス) id: 675366c207 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：灯霧
| 作成日時：2015年4月6日 19時
