story86 ページ42
「じゃあ、ゆっくり目を閉じて、俺の質問に答えて」
ともすればコソコソ話し出す外野にくれぐれも黙っているようにと釘をさし、モブリットはAに向き直る。
「君の名前は？」
「A…」
「君は今、何歳？」
「……わから、ない…でも、いっぱい…」
「数えられるだけでいい。教えてくれ」
「……りょう、て。指…より、おお、い？」
「そうか。十歳は越えているね」
「……じゅ、う…」
「今、君はどこにいる？」
「…リー、の、部屋…」
「そうか。部屋はどんな部屋？」
「……き、れい…紙…いっぱい…」
意味のないような問答が続く。それをじっと見ながら、ミケは不意にその匂いに気づいた。モブリットが何かを取り出したのだ。
(……ラベンダー、か？)
独特の香りは、主に人をリラックスさせる効能がある。暗示ということを考えて、持ってきたのだろう。
「さぁ、君はいま、誰といる？」
「…スーリヤ」
「どんな場所にいるんだい？」
「森の中…」
Aの声が、幼くなっている。そして普通に話し始めた。四人が息をのむ。彼女の記憶が戻っているのなら、催眠術が成功したのだろうか。
「スーリヤと出会ったのは、いつ？」
「……お母さん…動かなくなった時…」
「お母さんと一緒にいた？」
「一緒にいた…。でも、大きい…人が、食べた…」
Aの閉じた眦から涙が溢れる。
「じゃあ、その前は？なんでお母さんと出掛けたんだい？」
「……ぁ、おか、お母さん…私を、痛いところから出してくれた…。逃げるのよ、っていって」
「なにから、逃げたんだい？」
Aから紡がれたのは、一人の男の名前。
「おと、うさん…シオン…アルマーニ…」
(アルマーニ…！？)
(スーリヤと同じ、ファミリーネーム…)
(私が調べる。リヴァイたちはここにいて)
(ハンジ、俺も手伝う。いいな？エルヴィン、リヴァイ)
(勿論)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 150人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「進撃の巨人」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
さと芋 - すっごく面白いですo(｀ω´ )oこれからも頑張ってください！ (2015年4月10日 1時) (
レス) id: 1ff7e22c1f (このIDを非表示/違反報告)
☆ユウ☆ - えっΣ（ﾟдﾟlll）使ってなかったんですか？なら大丈夫じゃないですか〜( ´ ▽ ` )ﾉ (2015年4月9日 21時) (レス) id: ef0a60f552 (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - ゆうさま>言われてきづきました。あまり古いネタ使ってなかった…！ (2015年4月9日 20時) (レス) id: 675366c207 (このIDを非表示/違反報告)
☆ユウ☆ - ありがとうございます！古いネタってどんなやつですか？ (2015年4月8日 23時) (レス) id: ef0a60f552 (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - ゆうさま>おきになさらず！同じ趣味をもつかたと話すときは、あまり年は気にしないので。ネタ…結構古いネタとか、つかってます。たぶん。（← (2015年4月8日 22時) (レス) id: 675366c207 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：灯霧
| 作成日時：2015年4月6日 19時
