story203 ページ9
キースの報告書を手に、Aは物思いに耽っていた。
「エレン・イェーガー…アルミン・アルレルト…ミカサ・アッカーマン…そして…」
記された名前をなぞる指が、ピタリと止まる。
「………ユミル」
この事実を、報告すべきだろうか。いや、ただ名前が同じだけかもしれない。イルゼの戦果で判明したのは、あくまでユミルという呼称、ユミルの民という呼称だけだ。仮にユミルというのが一族の長のようなものだとするなら、そのユミルが訓練兵団に入ってくる理由がわからない。
「そもそも、巨人がその民だとすれば、そいつは百歳超えてるってことじゃねぇか…。馬鹿馬鹿しい」
わざとらしく口に出すものの、胸中に残るわだかまりは消えなかった。ユミルだけではなく、あの時の子供たちの入団。アッカーマンという一族。
「クソッ…調べられればいいのに…」
ケニーに姓を聞いた時の事を思い出す。あの時のケニーは、したたかに酔っぱらっていた。リヴァイと共に眠りについたAがふと眼を覚ました時には、相当酒臭かったのを覚えている。これだけ酔っぱらっていれば、なにか口を滑らせるんじゃないか。そう思って、質問をしたのだ。何故、助けたのか。他の人間には姓があるのに、何故自分達には無いのか。
『無い訳じゃねぇよ。ただ、クシェルが名乗る価値がねぇと判断しただけのことさ』
『価値がない…？』
『アッカーマンの一族は、迫害されてたからなぁ…。まぁ今じゃ、何とかお天道様の下を歩けるようになったがな…。それで迎えにいったら死んでやがって…。俺より先に死ぬなんざ、兄泣かせの妹だぜ…』
勢いよく酒瓶を煽るケニーは、まるで泣いているようにも見えた。そしてそれ以来、一度たりともその話題に触れることはなかった。
(あの時、もっと詳しく聞いていたら)
(ケニーが叔父だという事と、自分の姓以外にも)
(何か分かったかもしれないのに)
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灯霧(プロフ) - 黒山茶花さん» 調査兵団の男たちは皆様格好いいです！……オルオはギャグキャラと見せかけてやっぱり格好いいタイプかな？（←）ありがとうございます！続編もお楽しみください！ (2015年8月21日 23時) (
レス) id: 3be15bf116 (このIDを非表示/違反報告)
黒山茶花 - 完結と思いきや、続編あるんですね！ミケがリヴァイ並みにかっこよく見えてきました。次も頑張ってください！ (2015年8月21日 22時) (レス) id: 317b6485e4 (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - アオさん» ありがとうございますこれからもか頑張ります！ (2015年8月21日 10時) (レス) id: 3be15bf116 (このIDを非表示/違反報告)
アオ(プロフ) - これまで読んできた作品の中で一番ドキドキワクワクしました！これからも頑張って下さい！ (2015年8月21日 10時) (レス) id: 167c570c52 (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - 白桃さん» ありがとうございます！今後も精進していきます！ (2015年8月21日 9時) (レス) id: 3be15bf116 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：灯霧
| 作成日時：2015年8月17日 13時
