story199 ページ5
「A！ちょっと待った」
「んぁ？なんだよクソメガネ」
リヴァイの部屋を出たAを、ハンジが呼び止めた。なかなか訓練兵団に戻れないことを苛立ち、それを隠そうともしていない。
「あのさ…さっきからこめかみずっと揉んでるけど、頭痛が酷いのかい？」
「なんだ、そんなことか。確かに頭痛はあるが、それがどうしたんだよ。疲れが出ただけだろ」
「……A。一度ちゃんと、医者に診てもらった方がいい」
「は？なんでそうなる」
そんな暇があるか、と吐き捨てるAの両肩に、ハンジの両手が置かれた。
「マリア陥落の時、君は頭部を強く打った。その時は後遺症などの確認はされなかったけれど、一年後にあの毒に身体を蝕まれた。脳への負荷が、かかりすぎてると思うんだ。もし何も異常がなければそれでいい。だけど万が一、何かがあったら？リヴァイもミケも使い物にならなくなるし、何より皆が悲しむ。だから、頼むよ」
毒に関しての情報は、ほとんど無い。ハンジが分析できたのは、ほんの一部だ。毒を抜いたからと言って、他に影響がないとは言い切れない。真剣な顔で見つめるハンジの手を、Aはそっと剥がした。
「悪いな、ハンジ」
「A！」
「もし万が一、何かの病を抱えてるとわかってしまえば、しかもそれが脳に関する病なら、僕は兵士ではいられなくなる。僕は死ぬその瞬間まで、誇り高い兵士でいたいんだ」
「死んだら全てが終わりなのに？」
「そうだ。それにもしかしたら、これは単なる慢性的な頭痛かもしれない。単なる風邪かもしれない」
「……それは、Aの言う逃げじゃないのか？」
不意に増えた声に、ハンジは驚きAはため息をついた。
「チッ。厄介なのが増えやがった」
「小言を言うという意味なら、その表現は大当たりだ」
現れたミケの表情は、硬い。眉間に皺が三本。
(相当怒っていやがる…。面倒な…)
「A。医者にかかれ」
「断る」
「命に関わるかもしれないのにか？」
「あぁ。その行動がミケやハンジを悲しませようがなんだろうが、僕は譲らない」
それでも、Aの意志は変わらない。相手が最愛の男で、その瞳が悲しそうに揺れても。
(何故なら僕たちは)
(いつでも命がけだから)
(命を賭けた戦いの果てを請い願い)
(そこに向かって足掻き続けることしかできないから)
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灯霧(プロフ) - 黒山茶花さん» 調査兵団の男たちは皆様格好いいです！……オルオはギャグキャラと見せかけてやっぱり格好いいタイプかな？（←）ありがとうございます！続編もお楽しみください！ (2015年8月21日 23時) (
レス) id: 3be15bf116 (このIDを非表示/違反報告)
黒山茶花 - 完結と思いきや、続編あるんですね！ミケがリヴァイ並みにかっこよく見えてきました。次も頑張ってください！ (2015年8月21日 22時) (レス) id: 317b6485e4 (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - アオさん» ありがとうございますこれからもか頑張ります！ (2015年8月21日 10時) (レス) id: 3be15bf116 (このIDを非表示/違反報告)
アオ(プロフ) - これまで読んできた作品の中で一番ドキドキワクワクしました！これからも頑張って下さい！ (2015年8月21日 10時) (レス) id: 167c570c52 (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - 白桃さん» ありがとうございます！今後も精進していきます！ (2015年8月21日 9時) (レス) id: 3be15bf116 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：灯霧
| 作成日時：2015年8月17日 13時
