story215 ページ21
ポカンとしているAを見下ろしながら、ミケはそっと黒髪に指を通した。Aのことはよく知っている。彼女がどんな考えかなんて、(基本的には)手に取るように分かっていた。
「お前は、あの誓いだけで充分だと言うだろうな。だが、俺は欲張りなんだ」
いつ死ぬか分からないからこそ、形にしたかった。Aが望まないのならば今のままでもいいが、出来れば目に見える誓いも欲しいと願っていた。それは、昔から変わらない願い。
「え、だって…は？本気……か？」
「こんなこと、冗談や嘘で言うと思うのか？」
「いやいやいや、だってほら、言い訳するための方便…とか」
「俺はいつでも、本当のことしか言わない。そんなことも忘れたのか？死ねばいいのに」
わざとらしくAの口調を真似すると、不満そうな表情をしながら俯くAを抱き寄せる。
「こんな形で言うのは、ムードもへったくれもないと思うんだが」
「ムード満点にしてみろ。Aが耐えきれないだろ」
「だからってな…。僕だって、その…一応女なんだから…」
「女じゃなくても、俺はAを好きになっただろうな」
「え、まさかの両刀宣言？」
「違う。どんなAでも、Aである限り変わらないということだ。それとも…プロポーズに夢を見ていたか？なら、バラの花束を持って正装をして、膝まづきながら俺と結婚してくれと」
「わぁあああ！！やめろ言うなマジボケ死ねばいいのに！」
耳元でシチュエーションを囁くと、耳まで真っ赤になったAの手に口を塞がれた。クスクス笑いながら、その手をそっと外す。
「どうせなら、違うやり方がいい」
「…………あぁ、クソ…」
観念したように力の抜けるAの背中を支えて、顔を近づけて。
「それで、答えは？」
「……イエス以外にあると思うな、ぜってぇ離してやらねぇ」
「Aに束縛されるなら、悪くない」
「やっぱりマゾ」
「照れ隠しなのはわかっている」
触れあった唇が、言葉を越えた気持ちの現れ。
(ところで、息抜きはどうだったんだ？)
(なかなか楽しかった。まぁ、僕の圧勝だけどな)
(だろうな。訓練兵が哀れだ)
(なんだ、僕よりあいつらの肩を持つのか。死ねばいいのに)
(嫉妬しても可愛いだけだぞ)
(…………マジ、死ねばいいのに)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 19人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
灯霧(プロフ) - 黒山茶花さん» 調査兵団の男たちは皆様格好いいです！……オルオはギャグキャラと見せかけてやっぱり格好いいタイプかな？（←）ありがとうございます！続編もお楽しみください！ (2015年8月21日 23時) (
レス) id: 3be15bf116 (このIDを非表示/違反報告)
黒山茶花 - 完結と思いきや、続編あるんですね！ミケがリヴァイ並みにかっこよく見えてきました。次も頑張ってください！ (2015年8月21日 22時) (レス) id: 317b6485e4 (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - アオさん» ありがとうございますこれからもか頑張ります！ (2015年8月21日 10時) (レス) id: 3be15bf116 (このIDを非表示/違反報告)
アオ(プロフ) - これまで読んできた作品の中で一番ドキドキワクワクしました！これからも頑張って下さい！ (2015年8月21日 10時) (レス) id: 167c570c52 (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - 白桃さん» ありがとうございます！今後も精進していきます！ (2015年8月21日 9時) (レス) id: 3be15bf116 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：灯霧
| 作成日時：2015年8月17日 13時
