story209 ページ15
Aの療養が始まって一ヶ月。相変わらず病の原因や治療法は見つかっていない。ただ、常にミケがそばにいるという状況がいいのか、A自身には随分と余裕が戻ってきた。以前のようにちょっとしたことでペンの的にされることが無くなったのが、その証拠だ。それを踏まえ、とうとうAに告知をすることが決まる。医師から話すかミケやリヴァイから話すかを相談し、二人から話すということが決まった。Aが一番信頼を置いている二人からの方が、落ち着いて聞けるだろうという判断だ。
「…………そうか」
紅茶を一口飲んでAが発した言葉は、それだけだった。
「…驚かねぇのか？」
「予想はついていた。二人がこんな状態で僕に隠すような事なら、それは兵団の重要な機密に関わる事件か巨人についてか、そうでなければ僕の脳がイカれていて余命宣言されるようなものか完治の見込みがないような面倒な病か、そのくらいだろうってな」
リヴァイは改めて、Aの洞察力に舌を巻いた。自分もミケも、具体的なことについては何も言っていなかったのだ。なのにここまで的確に予想がつくというのは、A自身の能力が常識的なものではないと証明している。
「それで、復帰はできるのか？」
「もう少し、待ってくれ。今、似たような症例をしらみ潰しで調べている。今の薬よりも効果のあるものが見付かれば、復帰も視野にいれていいそうだ」
「ただし、復帰してから症状が悪化した場合は、引退を考えろ」
「……まぁ、そうなるよな」
感情のコントロールができない指揮官など、無能も良いところだ。原因がわからないということは、何がきっかけでそうなるかわからないということ。初めて発作を起こした時のように部下を傷つけてしまうかもしれない。傷つけるだけではなく、殺してしまうかもしれない。そんな危険性を秘めているのは、A自身が一番よく理解していた。
「わかった。僕の後任も考えておくことにする」
「姉さん。…俺は、すぐにでも引退するべきだと思っている」
唐突なリヴァイの言葉も、予想通りだった。弟は、自分よりも心優しいのだ。
「ありがとう。でも…まだ、駄目だ」
「なんでだ？これ以上悪化するかも知れねぇんだぞ」
(その質問も予想通りで)
(思わず苦笑しながら)
(それでも僕は、決して諦めないから)
(引退なんて、まだまだ)
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灯霧(プロフ) - 黒山茶花さん» 調査兵団の男たちは皆様格好いいです！……オルオはギャグキャラと見せかけてやっぱり格好いいタイプかな？（←）ありがとうございます！続編もお楽しみください！ (2015年8月21日 23時) (
レス) id: 3be15bf116 (このIDを非表示/違反報告)
黒山茶花 - 完結と思いきや、続編あるんですね！ミケがリヴァイ並みにかっこよく見えてきました。次も頑張ってください！ (2015年8月21日 22時) (レス) id: 317b6485e4 (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - アオさん» ありがとうございますこれからもか頑張ります！ (2015年8月21日 10時) (レス) id: 3be15bf116 (このIDを非表示/違反報告)
アオ(プロフ) - これまで読んできた作品の中で一番ドキドキワクワクしました！これからも頑張って下さい！ (2015年8月21日 10時) (レス) id: 167c570c52 (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - 白桃さん» ありがとうございます！今後も精進していきます！ (2015年8月21日 9時) (レス) id: 3be15bf116 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：灯霧
| 作成日時：2015年8月17日 13時
