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Story322:時透side ページ35

「失礼します」


一言告げて、時透は静かに入室する。笑顔で彼を迎える輝利哉の前に座り、頭を下げた。


「お館様におかれましては、ご健勝で何よりです。ますますのご多幸、切にお祈り申し上げます」
「ありがとう、無一郎。…いつもみんなに先を越されがちだったけれど、今日は落ち着いているね」
「一人ですから」


柱合会議の度に早い者勝ちだった、耀哉への挨拶。それを初めて輝利哉自身が受け取った。最年少の彼から。


「…感慨深いです。時透様は、私たちに折り紙を教えてくださいました」
「そんなこともありましたね」
「教えてくれたことさえ、忘れていらっしゃいましたけど」
「…申し訳ありません」
「いいんです。時透様は私たちに一番歳が近く、私たちも時透様を好いていました」
「…結構そっけなかったと思いますが」
「優しいということは、皆知っていましたから」


彼に対してだけは、なぜか早い段階で輝利哉として接することができたのは、彼が鬼殺隊にきた頃、まだ看病をしていた段階でそういう交流があったからだろう。今までの柱たちよりも格段に柔らかい雰囲気で、輝利哉は話していた。


「時透様は、これからどうされるのですか?」
「株、という…なんていうのかな、投資?みたいなことをしてお金を稼ぎます。Aがちゃんと学校にも行けっていうので、学校にも行きます。それで、Aは僕がお嫁さんにします」
「ふふっ。煉獄様や宇髄様もそうおっしゃっていましたよ。皆さん、Aさんが大好きですね」
「…彼女は、不思議な人なんです。最初は、なんて警戒心のない、非常識な人だろうって思ってました。でも…だから僕たちは、今ここにいられる。居場所を、人生を、Aはくれた。だから僕は、生きて幸せになります」


迷いのない時透の言葉に、輝利哉は笑う。かつての優しさや、兄の気の強さも併せ持った、輝利哉の知るよりも男らしい青年へと成長を見せる、時透。


いつか、彼のようになりたい。そう、思う。


「時透様。…どうか、どうかお幸せに」
「輝利哉様も、お元気で」


(あっさりしすぎと言われるかもしれないけれど)
(僕たちの間にはそれで十分)
(僕は僕の、輝利哉様は輝利哉様の人生を歩むだけ)

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灯霧(プロフ) - シンヤさん» コメントありがとうございます。いまとてもバタバタしているのですが必ず更新いたします! (2022年7月19日 21時) (レス) id: e0bf1f0d56 (このIDを非表示/違反報告)
シンヤ(プロフ) - 続きとても楽しみにしています (2022年7月14日 2時) (レス) @page47 id: 42d6be6a70 (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - pppさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけて光栄です!この先をどう進めていこうかというなは決めているのであとは書く時間だけなのですが…なかなか難しくて申し訳ありません。でも最後までやりますのでお待ちください! (2022年5月23日 14時) (レス) id: 58548306cb (このIDを非表示/違反報告)
ppp - この作品が好きで最初から何度も読み返してます。更新、なかなか大変かと思いますが、続きを楽しみにしております。 (2022年5月22日 20時) (レス) id: f728de7b66 (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - むるさん» ありがとうございます、励まされます! (2022年3月28日 21時) (レス) id: 58548306cb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:灯霧 | 作成日時:2021年12月4日 15時

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