Story80 ページ38
忘れたころにやってくる。というのは、こんな感じなんだろうか。初めて不死川さんがきた時にも感じた【なにか】に圧されて、私は指一本動かせない。そんな中、可愛らしい声が響いた。
「えっ…時透くん、しのぶちゃん…!?」
ん?こんな声、聴いたことないぞ?誰だろう。
少しも動かせない身体の緊張感とは裏腹に、脳はどこかのんきなことを考える。
「なに…っ!?ばかなっ、お前たちは無限城の戦いで…!」
私の身体の上に乗っている人の力が、少し緩んだ。固まっていた身体がようやく動くようになり、すこしだけ頭をのけぞらせる。その瞬間、ぐっとまた力が入った。
「動くなといったはずだ」
「みんな…とりあえずこの人、どかして…」
我ながら、度胸がついたもんだと思う。この状況で冷静にお願いをしているんだから。とはいっても、思ったより声は震えて掠れてもいた。【なにか】が恐怖を煽るんだ。なんなんだろう、これ。
「…伊黒さん。彼女は敵ではありません。放してあげてください」
「黙れ、鬼め。胡蝶に化けて何をするつもりだ?生憎俺は騙されない」
「……そう思うのは仕方ないと思うけど、こんな女の子に何ができると思うの?早くAを放してよ」
「黙れといっている。この女の頸を掻っ切られたいのか?」
ああ、この人はとても疑り深い人なんだ。そう察するのはたやすいくらいの、やり取り。うーん、どうしたもんかなぁ。敵意がないってことさえ分かれば話を聞いて……もらえるかなぁこの人…。
「先ほどの頭痛やめまいはなんだ。お前たちの血鬼術か?」
「…ぁあ、俺と同じ状況かァ」
どこか納得したような不死川さんの声が聞こえる。おいこら、ほんと、助けろよ。
なんて思っていたら。
「伊黒さん…。この人たち、敵意がないわ。それに鬼が化けているようにも見えない…。お話だけでも、聞いてあげましょう?」
さっきも聞いた、聞いたことのない声の持ち主の提言。ナイス!誰か知らんけどありがとう!
「甘露寺が言うならば、仕方ない。だが俺は信用したわけじゃないからな」
そしてあっさり私の上からどいた男の人。…なんだその態度の差は。
「A、大丈夫?」
「う、ん。背中はちょっと痛いけど…」
あいてて、と言いながら身を起こして。散乱したバックの中身はしのぶちゃんが拾ってくれていて。
「とりあえず、家の中に入ってください」
(今何時だと思ってんだ)
(もう2時回ってるんだよ!)
(また金子さんに怒られる!)
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灯霧(プロフ) - 絵宙(えそら)さん» ぎゃあ!見つけ次第順次直していきます……!ご指摘、お気遣いありがとうございます!頑張ります! (2020年4月16日 9時) (レス) id: 58548306cb (このIDを非表示/違反報告)
絵宙(えそら) - 宇髄さんの「ずい」は骨へんですよ〜公式さんも間違えてましたね…w公式さんは少し寝た方が良いと思うんですよ…w天元郎にしちゃってましたし…夜中作業でしたら灯霧さんも寝てくださいね!!! (2020年4月15日 17時) (レス) id: 63faa5bcfc (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - 神夜神美さん» ありがとうございます!体調の心配まで……!腰を痛めているなうな私には有難いです!← (2020年2月23日 18時) (レス) id: 58548306cb (このIDを非表示/違反報告)
神夜神美(プロフ) - すごくおもしろくて最高でした!更新頑張ってくださいね!でもお体にもお気をつけてください!! (2020年2月23日 16時) (レス) id: 0f455588ed (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - ももさん» コメントありがとうございます!ぜひぜひ、楽しんで頂けたらなによりです! (2020年2月21日 23時) (レス) id: 58548306cb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:灯霧 | 作成日時:2020年2月20日 15時