【鬼滅の刃】引きこもりニートしようとしたら鬼殺の剣士がいらっしゃったようで……？2【逆ハー】

Story79 ページ37

土曜日の営業を終えたその日。満席だったにも関わらず比較的早めにお客様が引けてくれたおかげで、22時半には閉店を迎えることができた。着替えもみんな済ませたあと。


「不死川さんとしのぶちゃんとむいくんのお疲れ様会でもやらない？」


という一言で、菊池さん、シゲさん、成島と私たち4人のささやかな会を開くことになった。もちろん、しのぶちゃんとむいくんはノンアルコール。時間も時間だし、事務所のテーブルにコンビニで買ってきたおつまみとかを並べて、大人組はビールで、私(ハンドルキーパーです！)としのぶちゃんたちはジュースで乾杯して。

約一時間、静かだけど楽しかった時間を過ごせた。まぁ成島に関しては、鬼滅キャラと飲み会！といってひそかに騒いでいたけど。仕方ないよね、テンションあがるのは。(苦笑)

前の仕事は？なんていうきわどい質問もあったけれど、そこは私と成島でフォローしてギリギリ切り抜けたと思う。好きな物とかそんな話、あとはどうしようもないお客様の愚痴とかで、終始和やかな会となって。


「またね」


お店で菊池さんたちと別れる時、みんながそう言ってくれた。閉店まで1か月半を切っているのにそう言ってくれる従業員の人たち、ありがたい。そう思いながら別れて、車に乗って家に向かって。車中では明日は部屋のお掃除です！という私に不死川さんがまたかよ…とげっそりし、それをしのぶちゃんが窘め、むいくんは外を眺めていて。


「到着！はーっ、ほんとみんな、1週間お疲れさまでした！」
「いえいえ。Aさんこそ、お疲れ様です」
「結構楽しかったよ」
「……悪くはなかったァ」


そう言ってくれるみんなに笑って、家の鍵を開けて。ドアノブを回しぐっと引っ張ったら、思ったより抵抗がなくて、ん？と思った、その瞬間。思い切り開いた扉の勢いに吹き飛ばされた。そして誰かに、馬乗りになられる。


「動くな、騒ぐな、少しでも声を発したら斬る」


アスファルトに打ち付けられていたい背中。私の首元に突き付けられているのは、1週間前にみたものと同じ…いやよく見ればなんかうねうねしてるけど、確かに刃物で。


「っ！！」


息を呑んだ私に、まだ車の周りにいた3人がこちらを見る気配がした。


「A！」


一番近くにいたむいくんが焦ったような声を出す。え、なにこれ。なんかすっごい覚えのある光景。刃物からそろそろと視線をあげた。


(そこには口元を包帯で覆った)
(見知らぬ男性が)
(……え？)

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