story75 ページ27
同じ時、礼拝堂にいたクロロ達男性組三人は、思い思いの場所に座っていた。
「なぁ、団長、フェイ」
その中で、フィンクスがふとつぶやく。
「あいつの記憶、戻ると思うか?」
「…正直、五分五分だな」
本を手にしたクロロが、目線を上げて本をパタンと閉じた。同じように本を読んでいたフェイタンは、視線をちらりとよこしすぐにまた戻してしまったが。
「見た目が違くてもAはAなんだって、なんとなくわかったぜ。でもあいつ自身に自覚がねぇだろ」
「どうしてそう思ったんだ?」
「俺とアイツ、それにフェイでよく遊んでいたのは知ってるだろ。…それこそ徹夜でゲームしたりしたもんだ。A、俺たちに負けねぇくらいのゲーマーだったからな」
暇さえあればゲームをする。それぞれ暮らしている場所は別々だったが、なんとなく連絡を取れば必ず三人で集まってゲームをしていた。それは決まって、ゲームの発売日だったりしたわけだが。
「格ゲーが苦手なのにアクションは得意だったりとか、戦い方の癖とかな。そういうところが変わんねぇんだよ、あいつ」
「人の能力は、外見と違ってすぐに変わるわけじゃないからなぁ…」
それにしてもそんな得手不得手があったとは、クロロは知らなかった。意外に仲間のことを知らない自分に苦笑しながら、それで、と首をかしげる。
「何が言いたいんだ?」
「…記憶が戻れば万々歳だよな、ってことだよ。五分五分ならそれを六分四分にする。少なくとも俺に協力できるのは、一緒にゲームするかこうして連れ歩くくらいだけどな」
「そうだな…戻ってきたら、それぞれで思い出の場所というのに行くのも悪くない。だが…正直な話、これほどの期間一緒に行動をして何も思い出さないのならば、可能性は低いとみるな、俺は」
その言葉に、フェイタンの目がすっと細められた。その変化を見逃さず、クロロが問いかける。
「どうした?フェイタン」
「…あいつの記憶が戻ても戻らなくても、同じよ」
パタンと本を閉じた小柄な彼は、マスクの内側でつぶやいた。
「ワタシとした約束があることだけは、思い出してもらわないと困るね」
(そう、あの時した)
(子供ぽい、ませた約束)
(あれを思い出してもらわなくては、コチラが困るよ)
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累 - とても面白いです!つづき楽しみにまってます!頑張ってください、応援してます! (2020年4月6日 12時) (レス) id: 7d54cdb775 (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - 由宇さん» コメントありがとうございます!ちょいちょい停止しますが必ず書き上げますので、どうぞよろしくお願いいたします! (2018年8月26日 14時) (レス) id: 94f5b58c39 (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - ここっちさん» もうちょいで記憶が!まだわかりません!(←)でも長い目で見ていただければと思います、よろしくお願いします! (2018年8月26日 14時) (レス) id: 94f5b58c39 (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - ゆっずーさん» 遅くなりまして申し訳ありません!いつもありがとうございます!これからも頑張りますね! (2018年8月26日 14時) (レス) id: 94f5b58c39 (このIDを非表示/違反報告)
由宇 - 面白いです!早く更新停止が終わることを願ってます!頑張ってください! (2018年8月15日 11時) (レス) id: 06761224f9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:灯霧 | 作成日時:2017年7月10日 18時