【飛影】それは転がり始めた石のように。part4【幽遊白書】 (ページ26)

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story171 ページ26

連れ立ってホテルに戻った五人は、それぞれ身体を休める筈だった。だが大事な話があると、涼の部屋に連れてこられた。幽助が静かな瞳で涼を見る。

「なんだよ、話って」
「なんで私に妖気があるのかとか、疑問は結構あるはずだろ？まぁ、聞きたくねぇなら部屋に戻ってもいいぜ」
「それは…以前言っていた、こちらの世界に足を突っ込んだきっかけの事ですか？」
「あぁ。修行をする上で飛影にはざっくり話したし、飛影から何か聞いてるかもしれねぇが…。ちゃんと、話しておきたい」

決して楽しい話ではない。そう前置きをする涼の姿に、部屋を去るものは誰もいなかった。

「三年前の話だ」

ポツポツと、語る。ある日突然、誘拐された事件から始まり、誘拐された先で強制的に心臓移植をされ、さらに心臓の代わりに核を埋め込まれた事。一ヶ月の間、拒絶反応で動けなかった事。その後の実験で、強制的に戦わされた事。約一年後に霊界によって助け出されたが、核を移植されて生きている人間という特異な存在故に閻魔大王に殺されそうになり、その指令を最初に受諾したコエンマが、涼と接してその指令を撤回するよう動いた事。時間稼ぎに人間界に逃がされ、そこで幻海を頼った事。監視を兼ねて霊界の依頼を定期的に受け、妖気と霊気を封印する事で辛うじて生かされた事。

「…その延長線上で、四聖獣の事件に関わったんだ。そこから先は、まぁ知ってのとおり」

あまりの内容に、幽助と桑原は唖然としていた。蔵馬は眉を寄せ、飛影は目を閉じる。

「陣との戦いで使った妖気は、本来の核の持ち主のものだ。だからコントロール仕切れなかった」
「それは…仕方の無い事でしょうね。後天的に埋め込まれたものですから」
「あの時、戸愚呂と戸愚呂チームのオーナーを知っているような事言ってたよな。それも、その事件に関係あるのか？」

幽助の問いかけに、頷く。実験と称した戦闘には、左京が関わるBBCによって連れてこられた妖怪もいた。ある意味キメラと同じ存在の涼を、一時は垂金が買おうとした事もある。

「それに捕まってた当時、私が逃げ出したり死んだりしないように監視する任務に当たっていたのが、戸愚呂兄弟だったからな。ばあちゃんの事を教えてくれたのも、実は戸愚呂弟だった。それで…私をこんな風にした張本人が、戸愚呂チームにいる」

(四人の視線が集中した)
(さて、ここからどう話したものか)
(和真は気づいていないみてぇだし…)